ハロプロについて書くよ

2015年は、断然ハロプロが面白いということについて書き殴っておく。

 

アンジュルムの「大器晩成」という曲が2月にリリースされるのだが、それに先立ち正月のハロコンで行われたライブ映像がハロステで公開された。

 

この曲、トラックは人力のドラムで録音されていて、かなり早いテンポの四つ打ちのファンクで、過去のつんくさんの作ったハロプロディスコ系の曲の中でも最速なんじゃなかろうか。そのリズムがもうこれ以上ないというほどノリノリで、10代のアンジュルムのメンバーにもその熱が伝わるのだろう、そのパフォーマンスからもアツさが伝わってくる。

 

つんくさんは、まあ早い話がオッチャンなので、ブラック系が好きとは言ってもドナ・サマーとかアースとかジャクソン5とか、少しでも黒人音楽のマニアと自認する俺のような人間にとっては、ま~あミーハーもいいとこで、薄っぺらい上澄みの黒人音楽しか知らんのかいな、という、ちょっと軽蔑というわけではないけどシタに見がちな方です、正直言うとね。しかしそのミーハーな部分があればこそ、あれだけのアイドルのヒット曲を生み出していたわけで、マニアックに深く潜ったりする感覚だと数字はついてこない世界なのだろう。そういうわけで、つんくさんを尊敬する人の気持ちというのは分かる。

 

その上で、あの方の良いところというのは、10代のアイドルに対して「音楽のチカラを信じなさい」とメールするようなセンスだ。恐らくこれ、建前ではなく、つんくさん自身の信条なんだろうけど、非常にハロプロのコアを支えている考えなんじゃないかなと思うのね。キャラが良い、歌がウマい、踊りがウマい、顔がカワイイ、と色々アイドルという競技、もしくは「アイドル道」には欠かせないスペックが、女のコそれぞれにはあると思うんだけど、この考えは、それら全部ひっくるめて、要するにアイドルのやることは間違いなく「音楽」そのものなんですよ、という思想に繋がってくる。

 

これねえ、いろんなアイドルが散乱している現状では、普通の大人ですら惑う部分なんだから、実際に現場でアイドルやってる10代の女のコにしてみたら、正しく突き詰めて理解できているとはとても思えないわけよ。何をヤレば売れるのか、とか普通ならそっちの方から入って行くから大人ってのは。そうすっと、女のコもそう思っちゃう部分があるわけよ。ところがつんくさんは「音楽を信じなさい」とかシラフで言える人なわけよ。これ、強いなあと思ってね。

 

でね、2014年は不作だった。長くハロプロ見てるわけじゃないけど、楽曲的にはホントに不作だったんじゃないかなと思うんです。Juice=Juiceが2年連続で楽曲大賞取ってるようなテイタラクから考えたら、他何やってたんだよ、という思いは拭えない。研修生の曲が良かったかもしれないが、結果的には2014年は道重さゆみの引退するする興行で引っ張った部分は否めない。つんくさんご本人の病気もあったのかもしれないが、まあ普通だったら、そんなにヒット作ばかり産めるわけなかろうって考えるもんなので、まあ「道重引退」を掲げてある程度やりながら、ハロプロの大人たちは2015年からの展開を考えていたのが2014年なのかもしれんな、と。

 

そして、アンジュルムの「大器晩成」に話は戻るんだが、この楽曲は、ハロプロのレギュラー陣のなかでは初めて「つんく離れ」を実行した曲なのね。経緯や思惑はいろいろあるんでしょうけど、生音でライブ感のある演奏を楽曲として残したことには大きな意義があると思うのです。感受性の強い、何かしら人より音楽的な才能を持っているハロプロの女のコたちに、この変化が伝わらないわけがないのです。

 

この手の話で思い出すのは、BABYMETALという「ヘビーメタルとアイドルを融合させた」と言われるアイドルユニットのボーカルの女のコが、バックトラックを生バンドで演奏をするライブの直前まで、普通のカラオケをバックに歌う感じかと思っていたら、いざ手練のミュージシャンが演奏を始めたら、全く圧が違ったのでびっくり、というエピソード。いい話ですね。生音への希求というのは東京女子流とかベイビーレイズというアイドルで実際に行われていたのだが、ハロプロとしてはモーニング娘。14がEDM路線を貫いていたということもあり、なかなか「生音がいいよね」というムードには至らなかったわけで。

 

ソコへ来て、アンジュルム「大器晩成」ね。「音楽を信じる」というハロプロ思想の根幹にピッタリの曲が出来上がったわけです。これは大人たちがよくやってくれたと思います。ここから、女のコたちに伝播すればいいなと願っています。

 

そうそう、かつてはどの現場でもバンドが演奏する前で歌うのが当たり前だったが、今や女のコたちは、「生音」への想像力も欠けてしまうほどになってしまっているという状況がまずある。その上で、松田聖子というオールドスクールを掘り起こそうとしている宮本佳林という女のコも、重要人物。尊敬するアイドルは松田聖子、と言って憚らないこの努力家は、現在進行形で進化中なのだ。

 

あ、ワタクシ高木紗友希推しですが。