『江戸は心意気』を読みました

山本一力さんの『江戸は心意気』を読みました〜。

雑誌かなにかに連載された細かいエッセイを集めた、なんてことのない雑文集です。途中は幼少時代の高知の話が出てくるなど、江戸について書かれたものですらありません。タイトルと表紙には呆れますが、これをもって出版社が詐欺っぽいと咎めるのは簡単なんですが、この行為は残念ながら出版社の詐欺にはあたりません。どうやって出版されたのかのいきさつもよく分かりませんが、山本さんは「善意の第三者」でしょう。

まあ、山本さんの小説に較べたら、そんなに面白くはないです。聞いた事のある話もあったし、まあ期待通りの本って感じです。

ところで作家さんのこの手の新聞エッセイってピンキリで、いうなればちょっとした手慰みで書いたものだとか副収入目当てに書いたものだとか、本編に対するリハーサルやメイキング、メインに対するサブ、とかそんな扱いになりがちです。しかし実際は、過去随筆に命削っていたエッセイストも多かったと思われるんです。いまはブログがあるから、どうしようもない文章は活字として印刷するよりもそういう場所で書けばいいような気がするんですが、いま自分がブログを「そういう場所」と思ったことに驚きます。結局ブログはというよりネットは、売文業にとってはプロモーションぐらいでしかないってことでしょうか。金だけのことを考えたら、メルマガで稼げる方がよっぽど割がいいように感じますねえ。そんなことを考えてしまうとキリがないんですね。だからもうやめましょう。

江戸は心意気 (朝日文庫)
山本 一力
朝日新聞出版
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