『杉浦日向子の江戸塾』を読みました

杉浦日向子の江戸塾』を読みました〜。

杉浦日向子の江戸塾 (PHP文庫)
杉浦 日向子
PHP研究所
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対談本です。杉浦さんが先生となって、いろんな人が生徒となって対談するという、とても気持ちのいい本です。こんな風に江戸について語れる先生がいたらどんなにかいいでしょうね。絶対退屈しないだろうなあ。宮部みゆきさんも北方謙三さんも、みんな杉浦さんのこと大好きって感じがとてもよく現れてます。愛されてたんですねえ。こう過去形で言わなきゃいけないのが寂しいんですが。

杉浦さんは軽妙で肩肘張ってないので、時代考証という言葉に感じる堅苦しさが感じられないところがいいんですね。たとえに出しちゃって恐縮なんですけど、宮城谷昌光さんなどは官僚的というか(否定的な意味ではなくって)。その一方で庶民派の杉浦さんという。今ただの思いつきで挙げたんですが、「宮城谷昌光杉浦日向子」という対立項が、なんだか我ながらぴったりきちゃいました。

江戸時代の死生観についての部分はしんみりしました。

杉浦 そうなんです。現代人は病や死を理不尽なものと考えていて、タブー視していますが、江戸ではそれが日常で、生と死がフィフティー・フィフティーだった。だからたとえ不治の病に冒されたとしても、それを何かの因果だとは考えない。生まれる前のことがわからないように、死んだ後のこともわからないんだから、むやみに嘆くことではないって。
宮部 たまさか縁あって現世にいるけれど、他の世を知らずに現世を一番と考えるのは、どうかしてると。
杉浦 生まれてきたのは祝福するけれども、赤ちゃんがみんな泣いて生まれてくるのをみると、あちらの世界のほうがよかったんじゃないかって。

江戸についての著作が数えきれないほどあるので、これからもちょいちょいとつまんで読んでみたいものです。