『ソウル・フード』を観ました

映画『ソウル・フード』を観ました〜。

1997年製作、ベイビーフェイスことケネス・エドモンズ製作総指揮っていう代物で、当時この手のサントラが妙に豪華なR&Bとヒップホップが並ぶ「ブラックムービー」ってのがはやってたんですよね、思い出しました。日本では未公開どころか本国でもまったく鳴かず飛ばずの映画なのに、サントラだけは売れたていう。そういうビジネススキームが流行してたんでしょう。この『ソウル…フード』のサントラもBoys II Menほか90年代のブラックミュージックがてんこもりです。しっかしずらり並んだ名前を眺めるとこれ懐かしいですね…エクスケープとかアン・ヴォーグとか。

さて内容の方なんですけれども、90年代の「Blaxploitation」映画の軽さにしては泣けるし、考えさせられることの多いストーリーでした。調べてみたらこの映画はずいぶん興行収入もよかったんですね。それだけ家族のつながりが希薄になっている時代の的を射ていたんでしょうね。映画の中での家族が集まってのディナーのような幸せな時間は、いまや都市生活者に限らず、誰にとっても懐かしく思えるんじゃないでしょうか。

私の旧約聖書』には、得るものがあれば失うものがあって、その得失は常にイコールで会わせるとゼロ、というようなことが書かれてたのを思い出します。まあだからこそ、家族を描く映画や小説が成り立つんでしょ、とも思いますが。どうせ大家族主義の時代だったら「これからは個人主義だ!」とか言ってたわけですからねえ。

登場人物は非常に劇映画的でして、とても楽しめました。キャスティングは素敵ですねえ。引きこもりのピート叔父さんが最後に物語に果たした役割などを思うと、物語の黄金律というのは存在するのだと思いました。この映画はテレビ版にもなっているらしいんですが、そちらのキャラ配置はどう変わっているのかちょっと興味があります。この物語を橋田壽賀子先生に託して較べてみたい、という思いに駆られました。


忘れてはいけない見どころは、なんといってもソウルフードですね。上原善広さんの『被差別の食卓』にも登場した米国南部料理の数々が、もう本当にうまそう!