農家の女 キャサリーン・ヘインズおばさん

スタッズ・ターケルの『仕事(ワーキング)!』を読んでます)

ケンタッキー州東部の、掘り尽くしてしまった炭坑の町ブラッキー、町民350人。若者はいない。町民の多くは独立戦争の末裔でその大部分が生活保護を受けている。この町の山のふもとの岩だらけのところに、小屋を建てて一人住んでいるという77歳の農家の女がキャサリーン・ヘインズおばさん。

家のことと野良仕事だけさ。わたしゃほかのことはひとつもしたことなんかないよ。

まあ、わかんないけどね。昔ふうの南部の百姓に生まれて、そのまま死んでいくんだろうね。ラジオかい、それならあそこにあるんだけど、でもよく聴こえないんだ。テレビなんかないよ。だってあんまりバカな番組ばかりでみる気もしないさ。ベトナムのことは少しは聞いてるよ。それでうんと勉強してるんだよ。なにしろ、新しい情報を聞いて心配をふやさなくっても、今でも十分心配事はあるしね。

現代のインタビューの内容とあんまり変わらないですね。スタッズ・ターケルも、ステレオタイプ的な仕事を平気でやってきますからねえ。聞かれたらこう話す、という風にセットされているんでしょうか。いや、全員等しく老いたらこうなりますっていう深い話かもしれません。


農家女性の社会学―農の元気は女から
〓 理恵子
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