『永遠のモータウン』を観ました

永遠のモータウン』を観ました〜。

永遠のモータウン [DVD]
東北新社 (2004-11-25)
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気持ちのいい映画でした。音楽映画というより、音楽産業映画とでも言うんでしょうか、『ドリームガールズ』も『キャデラック・レコード』も、気持ちのいい映画であったように。映画というより、テレビのドキュメンタリー番組の特番みたいな感じでしょうか。モータウンのサウンドを支えたFunk Brothersの話です。

もともとモータウンはそんなに好きじゃないのです。スモーキー・ロビンソンにそれほど良さを感じないのがその主たる理由です。一時この映画が出た頃なんでしょうかね、確かにファンク・ブロスのCDやなんかが急に出て、持ってたような気がします。感想としては、そんなによかねえなっていう。いやいやあのですね、当時はニューオーリンズファンクだミーターズブッカーTだバーケイズだと、それはもう怒濤の再発だったような気がするんですよね。この頃の自分の一連の購買意欲と購買行動から振り返ってみると、モータウンというのはどうしても、なよっとした、白人向けサウンドっていうイメージが強かったんだろうなと思うんです。もっともこの映画作品でも触れていますが、マーヴィン・ゲイのワッツゴーイノンは、その歌もサウンドも、ソウルミュージックのどころか、黒人公民権運動、反戦運動、アメリカ史の金字塔でもありましょう。

うん十年ぶりかに集まったファンク・ブロスのライブが折々に挟まれるという構成なんですが、大好きなジェラルド・レヴァートが歌っててちょっと目が潤みました。あれれ、でもジェラルドが唄うとどうもモータウンっぽくないな、次に出てきたミシェル・ンデゲオチェロもなんか違う…と少し不満があったんですが、最後にチャカ・ カーンが出てきて、オオトリではモンテル・ジョーダンと一緒にエインノーマウンテンハイナフを歌ってくれました。この二人こそモータウンって感じがしましたねえ。やっぱ男はお行儀のよい感じが私のモータウンのイメージのようです。ジェラルドやミシェルは見るからに不良!ってな感じっすからねえ。要するにファンク・ブロスのサウンドなんて言われてもねえ、結局歌い手の見た目でしか判断できないっつーわけっすよええ。軟弱者です。

さて。この映画は当然キャロル・ケイという西海岸在住の白人女性ベーシストの話だろうと思って観ていたらそうではなくて、その話以前の映画だったというわけです。つまりあれか、この映画はジェームス・ジェマーソンについて書かれた本が原作で、その後に反論として出された本がキャロル・ケイの本だったのかな、よく分かりませんけど、恐らくキャロル・ケイ側の主張というのはこの映画の後でありましょう。

モータウンといったらキャロル.ケイの話、という固定観念がずっとありました。レコード産業を支えたミュージシャンの側から見れば、「黒人も白人も最初っから関係なかったやんけ!」という衝撃的な事実が、いまや当たり前になっているものと思われます。それはアトランティックでもスタックスでもマスルショールズでもナッシュヴィルでも同じ事。音楽産業は、人種差別が撤廃されたとされる今でも、形を変えて「race music」として売っているというわけですなあ。