『おとなのけんか』を観ました

ロマン・ポランスキー監督の『おとなのけんか』を観ました〜。

『大人は、かく戦えり』という戯曲の映画化で、日本でもすでにシス・カンパニーで公演されている有名なヤツみたいです。これは〜可笑しかったです。シバイの方も一度観てみたいと思いました。

登場する人物はほぼ4人だけ、シチュエーションはほぼひとつの部屋だけというスタイルに、はじめは驚きました。演劇で言ったら一幕一場ものになりますが、それだけで80分の尺を駆け抜けるという、監督冥利、役者冥利に尽きるだろうなと思わせる映画です。よくこんなの作ったなと思ったら、ポランスキー監督だから「アメリカ映画」ではないわけで、こういう映画を作れるのはやはりハリウッド以外ということになるんでしょうね。携帯電話、コブラー、ハムスター、画集、スコッチ、隣人の犬の鳴き声と、小道具が巧みに織り込まれて、まったく尺の長さを感じさせません。

子供の喧嘩を双方の両親が善意を持って解決しようという過程において、夫婦同士がだんだんグチャグチャになっていくサマを見せた台本がまず面白く、声優さんも含めて日本語訳もずいぶん頑張ったんでしょう、吹き替え版の出来がよくて感心しました。私はどうしても友近のネタを思い出してしまう吹き替え版否定派なんですけど、これに関しては上出来で、声優冥利に尽きる作品だろうなと思います。しかも構成上、だんだん登場人物が感情的になっていくところなどは、日本語の利点が活かせたんじゃないかなって思います。特にクリストフ・ヴァルツの声をやった山路和弘さんがイカしてました。

そもそもクリストフ・ヴァルツという役者さんは初見でございましたが、こいつは笑えますね〜。まず最初に、他人の居間で、携帯で仕事の話をたっぷり聞かせる不遜さにワクワクします。加害者側の子供の親はこのクリストフ・ヴァルツケイト・ウィンスレットです。ケイトはホリデイで泣きまくる女子の役でしたが、今回は壮絶過ぎるゲロ一発をキメてくれました。ゲロかけられたクリストフ・ヴァルツが笑。この夫婦、都合3度、席を立って帰ろうとするんですが、これがなかなか帰れず、話し合いは解決しないという、何やってんだよという観客のツッコミ混じりの面白さがたまりません。

そして被害者側の両親、ジョディ・フォスタージョン・C・ライリーですが、ふ〜、ジョディ・フォスターの凄みが次第に大きくなってきて、最後の方は鬼ですな鬼。すげえなと。こんな鬼嫁の旦那役がジョン・C・ライリーってのがクソ笑えます。やっぱりジョンCは大物なんですよね、こうしたメンツに並べられるんだから。

それにしてもココシュカとか藤田嗣治とかアイヴァンホーとか、あるいはDoodleの由来はGuys and Dollsの歌だとか、いっぺんにいろいろ知るべきことが出てくるのもこういった非アメリカ映画のいいところですね。嫌いじゃないです。でもあまり観るキッカケがないっていうだけで。その意味では、ジョンCが出たおかげで私もこの映画を知ったんで、よかったなーという感じです。