上原善広『被差別の食卓』

上原善広さんの『被差別の食卓』を読みました〜。

セルマと聞いたらモンゴメリー、と条件反射するような読者が対象ではなさそうですね。第一章のアメリカの章は、知ってるだけにずいぶん物足りなく感じました。どこまで行けば成立するのか、っていうのもまた微妙な問題ですが、こんなド南部の観光コースばかり行かれても…っていう気持ちはあります。

と思ったら、第二章以降は本領発揮、とんでもないDEEPな場所に通っているんですよね。最初は「アメリカ南部」とか「黒人奴隷」とか大雑把なところからまずは入ったってことなんでしょうか。それにしてはちょっと精彩を欠いているといいますか、著者自身があんまりアメリカ合衆国に興味ないのか。もうちょっとDEEPな場所は南部にもいくらでもあるんですけどね。

それとも「フライドチキンは奴隷の食べ物だった!」と帯やPOPに書かれているわけですから、ミリオン出版で書いていた濃いネタを新書にまとめるにあたって、ちょっと一般人にも響くようなトピックでも入れておけっていう戦術だったんでしょうかね。

結局最後に印象に残ったのは、大阪のさいぼし、こうごり、あぶらかす、おでんそば、でした。これ全部旨そうでした。

文章では場所などは伏せられていたんですけど、いまやググったら出てくるっていう時代です。今度機会があったら行ってみよ。




被差別の食卓 (新潮新書)
上原 善広
新潮社
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