『フリーダム・ライターズ』を観ました

リチャード・ラグラヴェネーズ監督、ヒラリー・スワンク製作総指揮&主演の『フリーダム・ライターズ』を観ました〜。

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やっぱり熱血教師の金八イズムにはいつも泣かされますね! 教師モノはドラマでも常に人気のあるフォーマットだから、みんなそれぞれ心に刺さる題材なんだなーと思って観てました。ところで後から知ったんですが、これは実話で、そして実際にFreedom Writers Foundationという団体がのちに興りまして、現在も活動しているという話っすね。そうなってくると、ただ観て泣いただけなのに、どうにもなんか宣伝の片棒を担がされているような気がして、自分の感想をある程度保留したくもなってしまいます…。

そんなことを思わず書いてしまうような程度の映画ってことですね。いやよかったんですけどね。

想像ですけれども原作となった本はとてもいいんだろうなと感じます。荒れた教室が熱血教師によって見事に更生します。生徒たちは課外授業でホロコーストを知り、アンネの日記を知り、フリーダム・ライダーズを知ります。先生は自腹で教材を買い与え、そのためにアルバイトまでして、ついでに離婚することになってしまいます。まあとにかくまっすぐで情熱的な教師のようです。この熱血先生を演じているヒラリー・スワンクが、この映画の製作総指揮もやっていて、これが初めてのプロデュース作品だそうです。実際その熱意がスクリーンに現れているかのような演技でして、若い!とか元気!とかそういう感じでした。

ロス暴動以降のギャング間の抗争がそのまま学校に持ち込まれております。救いようのないギャングスタラップの時代ですね。もちろん授業に出てくる2Pacもすでに死んでます、Gun Shotで。それにしても、こんな感じで人種でまとまるしか防衛する術がないという環境は、日本では想像しにくいです。人種差別的な落書きをきっかけに、人種の問題をナマでぶつけ合う、さながらしゃべり場みたいになっていきます。せつねえなあと思ったのは、「ホロコースト知ってる人」と質問したらたった一人だけいる白人の生徒が挙手して、その次に「銃で狙われたことのある人」と聞いたら、その白人以外全員が挙手したシーン。人種問題が、ストリートでの危険にそのまま直結している現実を浮き立たせています。この演出が正しいのかどうかは分かりませんけど、『聖者の眠る街』のようにわざと人種のテーマをふやかした映画と比べるとグッときましたよ。

こういう生徒たちですから、日記を書かせると人それぞれに物語があるというわけですね。生徒役の皆さんも結構ナイスな連中ばかり選んでて、教室シーンについては終始一貫していい絵が撮れてるなあと思いました。そして原作もぜひぜひ読んでみたいと思いました。

あああいやあ、しかし、なんというんでしょうね。貧困と暴力の悲惨さの説得力は『プレシャス』に及ばないし、教師と生徒の関係の説得力は『スクール・オブ・ロック』にも及ばないんです。いや後者は冗談ですが、これはもう残念としか言えない。これを観たことで、『プレシャス』の出来の良さに改めて気づきました。あと先生役を比べても、ポーラ・パットンの方が断然よい…あれー差がついちゃいましたね。比べると面白いもんです。まああの、『プレシャス』の方は小説ですから事実を元にしているわけではないのですが。ケチのひとつも最後っ屁に付けるとしたら、教師と旦那とのシーンはつまんなくて観てらんないレベルだと思いましたが如何。