『「アメリカ社会」入門―英国人ニューヨークに住む』を読みました

コリン・ジョイスさん著の『「アメリカ社会」入門―英国人ニューヨークに住む』を読みました〜。

前作『「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)』を読んでて、かなり面白かったもので、続編である本書も手に取りました。

しかし大変な本ですよコレ。英国人記者であるコリン・ジョイスさん(ちなみに1970年生まれなんでタメっす)が、ニューヨーク他アメリカに行って感じたことを、日本人の読者に対して書くんですから、なかなか難しいところでしょうね。単純にイギリスとアメリカの相違点をオモシロおかしく書くのであれば、絶対英語でイギリス人向けに書いたほうがよいはずなのは自明なんですけどね。恐らく前作が好調だったのでしょう。

コリンさんの面白いところというのは、典型的なイギリス人のイメージを逸脱してないってところなんですね。ビールとフットボール(サッカーのことです)が大好きで、まあほとんどそれしか印象にないっていうくらいです。野球についてはよく分からない、クリケットの方が国際的にメジャーだという態度を貫いてますんでね。気持ちは分かるし、実際イギリスに比べたら、アメリカ人も日本人も同じ程度に「変なガイジン」となるであろうという読者の期待を裏切ることなく、上手に書いています。

本書のなかでひとつ、とても気になった指摘は、アメリカ人は「ネットワーキング」が大好きという事実です。カーネギーでもナポレオン・ヒルでもいいんですが、自己改革、自己啓発というテーマのベストセラー書は、たいていアメリカ発であることも分かるように、ビジネスでもプライベートでも、コネクションを最大限に利用したいものですねっていう考えはやはりアメリカ人が発祥なんでしょう。twitterfacebookもアメリカ発なんですよね。ソーシャルネットワーキングなんて、それこそコリンさんが日本のガイジンとしてアメリカ人と交流するような現場(国際交流だとかそういうの)においては、かなり重要な位置を占めるんじゃないでしょうか。これにはイギリス人や欧州人も違和感ないんじゃないかなと思ったら、やっぱりアメリカ的なものだということで違和感があるようなんですね。

誰にでもチャンスがあるという幻想を、アメリカ的な民主主義はその発生以来ずっと与え続けてきたわけです。一方でイギリス人のコリンさんにとっては、階級社会という悪しき欧州の名残がある中において、誰も彼もつながっちゃうようなネットワーキングに違和感を持つのもなるほどなって感じます。残念ながら今回の英国のロイヤルウェディングにド平民の私は招待されなかったんですが、日本も同様に貴族社会が存在するのは公然の秘密です。実際はアメリカの階級社会のほうがひどいんですけどね。不思議なもんですね。

あとはなんだろ…アメリカのビールもなかなかオイシイとか、アメリカのフットボール、いわゆるサッカーもなかなか頑張ってるとか、まあそういう話がやっぱり最後には残ります。結局それしかないのかっていうw。