『ダニにまつわる話』を読みました

青木淳一さんの『ダニにまつわる話』を読みました〜。

ダニにまつわる話 (ちくまプリマーブックス)
青木 淳一
筑摩書房
売り上げランキング: 43420

自宅で読むと痒くなったので、外で少しずつ読んでいきました。タイトル通り、青木さんが研究されているダニにまつわるいろんな細かいトピックが並んでいます。中盤以降がこの本の真骨頂です。福岡伸一さんのような、ちょっと素人では近寄りがたい分野の科学とは違って、まだ顕微鏡で観ても分かると言いましょうか、どちらかというと分類学、博物学的なところでダニの研究をされているようです。いやホントのところは分かりませんが。

で、ダニを研究する人とはいったいどういう人なんだろうと思って検索したら青木さんの為人がよく分かるサイトがありましたギーク的な人ではなくて、ネイチャーボーイって感じですね。昆虫好きの少年がそのまま学者になった的典型の、とても気持ちのよさそうな方とお見受けいたしました。文章も気持ちがいいんですね。グダラグダラと専門用語が並ぶ、マニアックな人にしか分からないようなトピックは皆無で、それもそのはず、この「ちくまプリマーブックス」は恐らく中学生や高校生向けのシリーズなのでしょう。丁寧にルビも振っているし、こういう本をもっと子供の時に読んでいればよかったと思うし、自分に子供ができたらこういう本をなんとしてでも読ませてやりたいと思っていますが…まあ図書館行けよって話なんでしょうね。

奥付見たら1996年に初刷なんですね。ずいぶん古い本になってしまいました。Amazonで見ると、ダニに関する本というのは専門書はあっても、学生向けというのはないじゃないですか。せいぜいさだやす圭先生の『ダニ』という野球漫画がある程度です。とまあこれは冗談なんですが、さだやす圭さんの『ダニ』とは、社会のダニと呼ばれるような素行の悪いプロ野球選手の話なんですが、ダニのイメージとは結局そこなんですね。これを青木さんは、多少憂いている部分はあります。ダニを愛する研究者としては当然でしょう。人に悪い害をもたらすダニはほんの一部なのだ、という話から始まって、ダニの生息域が自然環境と密接な関係があるという話などを展開していきます。

なかでもこれ面白いなーって思ったのは、ある時青木さんは、デパートの屋上のコンクリートの隙間に雑草が生えているのを見つけて、そこにもダニがいるだろうと閃いて、こっそりほじくって観察したそうなんです。そしたら当然のようにダニはいて(ダニというのはどこにでもいるらしく、いないのは活火山のマグマの吹き出す地表くらいのものなんだそうな)、それが新種なんだそうです。あれーと思って、全国のデパートの屋上のダニを調べたところ、そのダニが共通して見かけられると。このダニは一体どこが起源なのかと調べたら、なんと壱岐の荒れ果てた海辺の、非常に厳しい自然環境に同種のダニがいたんだそうです。都会というのはそれほど厳しい環境なんですねっていう話でした。なんかそういう行動ひとつとっても、タモリ倶楽部的な、と学会的な臭いを感じましたよ。