『我らが隣人の犯罪』を読みました

宮部みゆきさんの『我らが隣人の犯罪』を読みました〜。

我らが隣人の犯罪 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋
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ところで私がいっちょまえに読書を癖にしよう!と思い立ったのは、この拙ブログを書き始めた頃、まあ実際には昨年の今頃でした。それまで漫画と携帯ゲームばかりでしたからね。これではアカンと思い直してよかったです。20代、30代と当たり前のようにガシガシと仕事してて、学生時代のように小難しい本や古典など読む余裕もなく、非常にもったいなかったなあと今では思います。読書を習慣にするには、面白い本を読んでりゃ自然と習慣になるわけで、ではその自分にとっての面白い本はどこにあるかというと、やっぱりある程度幅広く読まないとネタ切れになってしまいます。

学生時代は中上健次が大好きで、蓮實ダーッとか柄谷ダーッとか語ってましたねえ。その蓮實さんも東大の総長になってしまいましたしね。こんな過去を書くのも恥ずかしいのですが、まあ学生の頃なんてみんな似たようなもんでしょ。青い青い。

さて、今回読んだ宮部みゆきさんのこの文庫本なんですけど、これを読んで、あの当時の自分の感覚をはっきり思い出したんですよね。「いまの日本の文芸はくだらねえよ、ろくな作家がいない。中上だけしか読む価値ねえよ」とか嘯いてたような気もしますが、その「くだらねえ作家」的な作品が、ちょうど今回の宮部さんの本みたいなノリだったなあ、ということを、思い出したんです。

今考えると、この文系学生(自分のことだけどw)のなんと視野の狭いことか。まず中上と宮部を比べるなんて、同じ「作家」とはいえ大雑把すぎますし、都はるみAKB48柏木由紀を同じ歌手として語るようなもんです(たとえが下手ですね自分)。まあそんな勘違いもあったから、この10ウン年間、読書からずいぶん遠ざかってしまったものですんで、いまその失われた時期の作品を、つまり宮部さんだとか山本一力さんだとか東野圭吾さんだとかを、せっせこ手に取っているという次第なんですけど。

解説の北村薫さんもAmazonレビューも、なんだかこの本ベタボメされてて、そういう当時の空気も含めて嫌いだったなーと思い出したんですが、実際読んでみて、やっぱりちょっときついなと思ってしまいました。ちょうど宮部さんのデビュー時期の作品だから鮮烈だったんでしょうかね、私としては時代物のほうが断然好きですね。ミステリーを習慣的に読んでないから、このなにが新しいのか、まるで分かりません。完全に好みの問題ですねすみません。

んでは、各作品ごとに。結果カライ感想なのは、自分がミステリーとか興味ないからなので、気にしないでくださいね。

我らが隣人の犯罪

検索したら、これを落語にして花緑さんが演じたとか。そりゃそうだよな、途中まで「三軒長屋」だもんなあ…。どうやら子供が語ることと、殺しが出てこないのにミステリーっていう体裁が新しかったようですね。テレビドラマで見る名子役のような兄妹の描写がいいなあと。

この子誰の子

例えばこういうお話でも、はあ、そういうオチですか…って思ってしまうだけになってしまうから、ミステリー的な展開って嫌いなんですよねー。読まなきゃいいのにって自分でも思います。

サボテンの花

子供を描くのも上手ですけど、子供を使うのが上手ですねっていう。この話に子供たちが絡んでくるってのが、考えつきません。子供好きなんでしょう。

祝・殺人

ミステリーマナーは知らないんですが、宮部さんの落語マナーってのは好きですね。これなんて落語のような人物配置なのに、こってりとミステリーになってます。でもやっぱ興味ないや〜人の殺し方とか動機とか。

気分は自殺志願

「作家・海野周平」という名前が気に入りました。どこかで聞いたような名前。しかしお話的にはどうもこうも。ただ気がついたんですけど、この頃からすでに、作家は人気商売だと自覚していらっしゃったってことですよねえ。志高いわー、と変なところで感心しました。