『脳内ニューヨーク』を観ました

脳内ニューヨーク』を観ました〜。

脳内ニューヨーク [DVD]
ポニーキャニオン (2010-07-21)
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ちょっと自分の年齢では観るのが早過ぎたかもしれません。いや年齢は関係ないのかな、映画経験値が足りない自分にはちょっと高級過ぎる作品でした、って言えばいいんでしょうかね。こういうのアート系っていうんでしょうか、絶対自分は観ることないと思っていても、なにかの拍子に観てしまうのがこういう作品なんですよね〜。こんな自分でも時々ぶち当たってしまうということは、それなりにこの手の作品が数出ているっていう証明でもあるかと思います。

根が暗いのは別にかまへんのです。それから訳分からんちゅーのんも許せます。出演者がみんなおっさんおばはんだってのもいいでしょう。なにかと言えばみんな頭の中がセックスばっかというのも確かに人生の真実かもしれません。ただひとつだけ、この映画のレビューによく出てくるパンチライン「エキストラなんていない」という台詞、あーあー言っちゃったって感じがしました。生きるだの死ぬだのを、よくもこう言葉にしちゃって人生を語るもんですね。酔っぱらいにありがちですけどね。知ったかぶりやがって畜生め、この映画は人生に対する不敬罪です。最低だなこの監督は、とまず最初に思ってしまいました。

タイトルにもあるように(原題のSynecdocheというのは間違いなく演劇用語です)、演劇の世界を重ね合わせたアイデアは好きですよ。本人役の後を本人が演出して回るっていうのはいいですね、多分監督はこのシーンをやりたかっただけなんじゃないかなっていう。しかし内容は、なかなか幕の開かない芝居、途中で飛び降り自殺する本人役、いつも火事の家、これだけ挙げてみても、いかにご本人がご病気かというのがよく分かります。ビョーキなんですよ単純に。ビョーキなんだから治せばいいのに、なんで映画作るかね、と思ってしまうんですよね。

重厚なセットだし綿密なカメラワーク、構成だって半端なく練り込まれてて、だからそれだけ手をかけちゃうと、結局人の生き死にがテーマになってくるんだっていう、最初から分かってたんだと思いますけどね、やっちまったなって感じがします。監督のチャーリー・カウフマンって何歳ですか? ああそうですか50歳くらいですか。残念だなあ、これで20代前半の監督だったら目をひんむいて驚くところなんですけどね。

しかしここまで嫌いと思わせた映画もなかなか他にないわけでして、貴重ですね。