『トラブル・イン・ハリウッド』を観ました

『トラブル・イン・ハリウッド』を観ました〜。

原題は"What Just Happened"。ロバート・デ・ニーロ主演の映画業界モノですが、なんか普通に「あー映画観たー」って気になりましたねえ。直前に観た『脳内ニューヨーク』があまりにも大作だったんで疲れたってのもあります(それにしても大作ってもう一度観たくなるもんですね)。


本作は、断然キャサリン・キーナー推しです。『脳内〜』では主役の元奥さんで(そういえば『路上のソリスト』でも離婚してたな…)別れてドイツ行って売れっ子になるアーティストを演じていたキャサリン・キーナーが、こちらの作品では映画会社で権力を振るう社長っていうね、なんていうか基本的に才能や運をたんまり持ってるっていう役柄が似合うんでしょうね。キャサリン・キーナーほどの美熟女演技派女優は、世界でもめったにいないんじゃないかと思います。ある時は生活に疲れた貧しい女にも見えるし、仕事が充実してて並の男を寄せ付けない女にも見えるし、役者としての使い勝手もよさそうだし(笑)、私の中ではテッパンの女優です。

それからマイケル・ウィンコットという風貌の非常に悪い俳優が出てきます。こいつが頑固な映画監督の役でして、本当にいい味出してるんですね。そのラストを変えるか変えないかでもめるという、プロデューサー役のデ・ニーロ、映画監督のウィンコット、女社長のキャサリン・キーナーの三者のシーンがあるんですけどね、これが素晴らしい交渉シーンでした。しかし短い! なんであのシーンをもっと長引かせたり膨らませたりしなかったのか残念です。この3人がエチュードやるなら金取れるでしょうと思ったんですが。

あと、ブルース・ウィリス本人のヒゲ問題が映画の骨格のひとつになっておりまして、こうやって書くとたかだかヒゲ問題なんて別に誰かが死ぬ訳でもなし、大した問題じゃないのによく映画にしたなって気もしますけれども、描かれているのは訴訟だなんだともう胃が痛くなるような状況を作り上げているんです一応。ですが、葛藤を演じさせたら右に出る者はほとんどいないと思われるデ・ニーロにとっては、その程度の問題はまだまだ大したハードルではないんじゃないかな、と思えてしまいました。テンパって光る役者ですから、もっとテンパって精神に異常を来すくらいの状況にデ・ニーロを置くべきです。『タクシー・ドライバー』的なイメージがねどうしてもありますよね。普通に逆ナンされた美人のファンとセックスしてる余裕なんてあるからダメなんです。

多分そのあたりのやっつけ感が見えてしまったので本作品は大したヒットとならなかったのではないでしょうかな〜んつってね。面白かったっすよホント。