『沖縄を撃つ!』を読みました

花村萬月さんの『沖縄を撃つ!』を読みました〜。

沖縄を撃つ! (集英社新書 415D)
花村 萬月
集英社
売り上げランキング: 201955

テイとしては「沖縄ガイド」なんですけれども、結局沖縄のことよりも花村さん自身のことが印象に残るという、気持ちいいのか悪いのか、妙な本です。しかも体裁が新書っていうのも妙な話です。なんの気なしにとった本なのに、なんだか「読まされた」という気分です。

ツッコミどころは多数あります。もちろん花村さん本人への。やけに突っ張るくせにところどころで弁解もしてて、大体言ってることは間違ってないと思うんですけど、本書にもあるように結局は一旅行者の言い分ですからねえ、「沖縄を撃つ!」なんてタイトルも読んだ後では失敗のような気もしてきます。ただ、小説家という職業だからとエクスキューズを求めるだけあって文章はホントに上手で読ませるし、見聞きして考えていることの大半は自分の文章のためになっているというのが凄まじいなと思いました。こういう作家さんが、沖縄のことを何か書けという注文があったとしたら、こういう書き方でもあり得るだろうなという、高いプロ意識も感じました。

悪所巡り(チョンの間を「人買い」なんて書いてるところからして、だいぶ背負ってますよねえ)もBC級グルメ巡りも、まあ今となっては普通のガイド並みではないかと思います。八重山アメラジアンの差別もあるんだぜなどと今さら…いまだに観光客が「リゾートホテル」に泊まって「守礼門」を真っ先に巡っているバカばかりだとでも思っているところが片腹痛くて、高所から講釈垂れてんのは沖縄の文化人云々よりも大卒出の編集者とつるんでいるアンタだよ、売春婦だって歴史を学びもするし、バカを見くびるとそのうち撃たれますよ、ってのは私の感想です。

ただ、この本は集英社の「すばる」という文芸誌に連載されていたものらしいので、なるほど、お客様を限定していたんだなってことが分かり、ちょっとホッとしました。撃たれる前に、撃つべき連中がいるのは確かであり、それを実践できる人は数少なくて、その中に花村さんもいるっていうことなんですね。応援してますんで頑張ってください。