仏教が好き!
気楽な対談本かと思いきや、相当に深いところで仏教についてお話されてて、想像以上に楽しませていただきました。中沢さんも河合さんもそれぞれの学問でゲージ超えちゃってる人ですから、絶対に話題は尽きない安心感というものがありました。
それでは仏教についてなにか私がつかめたか、というとそんなこともなくて、結構ゆっくり読んだんですがどうも把握しきれていない部分が多いんですよねー。他の一神教との比較においてはどちらかというとメタ宗教の話題になってしまいがちだし、仏教そのものについてのある程度の見識を読者に強いるような感触です。
ただ仏教のことを知る、その取っ掛かりとしては大変有意義な本であろうと思います。例えば21世紀においての仏教の重要性というのを掘り下げていくこと、キリスト教的な近代科学に対しての仏教からのかかわり方、そういう考え方のヒントになる言葉がいろいろとこの本に転がっております。それを拾っていくことで、今後関連文献を読むときに面白いことになりそうです。言わずもがなですが井筒先生のイスラム教本について、日本神話について、天理教や金光教について、あるいは鎌倉時代の日本仏教について、読書の渉猟することを考えたらほぼ全方向に手が伸びるところですんで、そうなったらきっとこの本が核になるかもしれないという、それだけ重要な、示唆的な本でした。
それにしても、河合さんがナバホで見た話や、学界で事例研究だけをやろうと決めた話が、仏教とつながってくるんですよねえ。なんでもかんでも仏教かい!とも、まあ引いてみたら言い得るわけです。