『マネーボール』を観ました

ベネット・ミラー監督の『マネーボール』を観ました〜。

素晴らしい映画でした。これこそが映画、そしてこれこそがジョナ・ヒルの真骨頂。ジョナ・ヒル万歳と言いたくなる映画でした。

ブラッド・ピットフィリップ・シーモア・ホフマンは、役者としてはヤンキースの選手みたいなもんで、平均点以上であることが要求もされるしそれにも応えられる実力はあるわけですよね。どちらも球団GMや監督に見えなくもないというレベルなのはさすがとしか言えないんですが、そういう金持ちアクターの中に割って入ってくるジョナ・ヒルが、作品の中でA's的な面白みを出しているわけです。スーツを着て球場で野球を観る、記号としてのジョナ・ヒルの説得力が半端ないんですよー。具体的なセイバーメトリクスの内容はほとんど出てこないんですけど、ジョナ・ヒルが何か専門的なタームを使って喋ってるだけで、なるほどそういうことね、と納得できちゃうんです。童貞高校生にはまるで見えなかったことに比べると、この作品の出来は感慨深いですねえ。

当時の実際の映像を効果的に使った冒頭のシーンと連勝のシーンはびっくりするほど美麗な編集でしたね〜。ベネット・ミラー監督を筆頭に『カポーティ』のスタッフといろいろ被っているようですね。あの映画は、私は無難さをまず感じたんですけれども、納得です。セイバーメトリクスの端折り方などは無難な好例でした。

原作は一体どういう印象なのかわかりませんが、とにかく「It's hard not to be romantic about Baseball」というブラピのセリフに寄り添うように物語が終わっていくのは、映画としてはとても心に染みるものでした。雨のフェンウェイパークレッドソックスの球場ですが、素晴らしいシチュエーションです。最後のジョナ・ヒルが見せた映像、Visalia OaksのJeremy Brownのホームラン、まさにメタファーであり、ラストシーンのブラピ独壇場も、この映画が表現するモノのメタファーでありました。

野球っていいですなあ。たまらんです。