『ミラクル』を観ました

ギャヴィン・オコナー監督の『ミラクル』を観ました〜。

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いかにもディズニーらしい、と言ってしまうとまた違うんでしょうけど、実話を元にした真面目なスポーツ映画でした。真面目で丁寧なスポーツ描写に何か問題でも?

まあなんというか…こんだけスポーツ描写が真面目過ぎると不満が残るし、かといってふざけ過ぎていても不平を垂れるし、ホント自分も困ったもんだと思います。本作は明らかに良作です。冷戦中の米ソの政治状況も織り込みつつ、チーム一丸となって強敵ソ連に勝つまでの物語の描写がホントに折り目正しく、無駄にソ連を悪役として描くこともなく、監督の奥さんもそれなりの家庭内不和を通過してきちんと役どころを演じているし、試合も精密な撮影でリアルな迫力を出すことに成功しているように見えるし、なんの問題もないんです。それでもなんというのか、何しろどの役者もある意味チームプレイに徹していると言いましょうか、悪く言えば誰も印象に残らないという、そういう結果に終わってしまっているのが、まあ私の不満の元です。

結局、誰も印象に残らないということは、この映画自体印象に残らなくなる可能性は高いわけです。

一人だけ挙げるとしたら、監督の奥さん役、パトリシア・クラークソンでしょうかねえ。エマ・ストーンとのはっちゃけた仲良しママを演じた彼女にしたって、無難さを前面に出してる演技という気もしてきますし、誰の批判も受けそうにない役柄でしたから、まあ結局とことんファミリー向け、すなわちディズニーらしかったな、というのが私の結論です。

つまらん、とは言いません。そこまで言ったら贅沢です。それは『奇跡のロングショット』でも同様です。ただなんだろう、このテのスポーツ実話系では、『マネーボール』が今までで一番よかったと思える理由が私の中でもまだはっきりとしていません。

…ひとつ今考えたんですが、スポーツ映画であるがゆえにあまりにスポーツを重く取り上げてしまう傾向があると思うんですね。『マネーボール』の良かったところは、野球そのものよりも、野球に関わる人々それぞれの生き様が中心になっていたという気がするんです。『マネーボール』はブラッド・ピットジョナ・ヒルも、もちろんそれ以外の脇役ですら、全員がそれぞれにどこか異なる主張をしてて、そういった中でこそ最後まで「チーム」という意味が際立ってくるという感じでした。ところが本作は、審議会のメンバーは完全にお囃子で、代表チームのメンバーそれぞれもウゾウムゾウ、と、本筋から離れてしまうことを嫌ったからそうしたんでしょうけれども、その分味がなくなったのだろうと思います。

映画って難しいもんですね、と思った次第。