『デート&ナイト』を観ました

ショーン・レヴィ監督の『デート&ナイト』を観ました〜。

原題は「Date Night」。郊外で暮らす平凡な夫婦がベビシッターを雇ってデートをする夜、という意味ですね。その夫婦役はスティーヴ・カレルティナ・フェイスティーヴ・カレル主演の2010年作品という点で『奇人たちの晩餐会USA』と共通しておりますが、あっちがヨーロッパのサッカーだとしたら、こっちは南米のサッカーでした。とにかくコメディであることには間違いないんですけど、なんというかもう、スティーヴとティナのツートップのアドリブお笑い百連発、といった様相。

ティナ・フェイってすごい人だな〜と。いろんなシーンでスティーヴを喰うというか、言い回しやラインできちんと勝負にかかる様は、おーコメディ魂の人なんだなと感じました。引き出しにつまずく天丼もよかったと思います。

そんでまあ、映画自体が南米型コメディなもんですから、よい意味でご都合主義的な行き当たりばったりの超異常脚本で、もうなにがなにやらよく分からんままとにかくお話は突っ走るという感じでした。なんじゃそりゃ、自分で書いててもよく分からんですね。

まずは「必殺中年殺し」とも思える冒頭で、映画の期待度は高まりました。おっさんなら必ず釣られるであろうラモーンズの名曲「Blitzkrieg Bop」に乗せて、中年夫婦が怪獣たちに起こされる朝のシーンから始まるんですね。おやおや、またもやスティーヴお得意の「中年の危機」絡みの映画ですか、とタカを括ってたんですが、ご近所さんとの読書会なんてシーンも含めて、これらまったくのフェイクでして、その後の超展開には完全に意表を突かれました。「デート・ナイト」にニューヨークの超人気店へ夫婦で出かけてから起こる一連の事件は、ひとつひとつ検証してみると「?」ってなことばかりなんですけれども、ひとしきりカーチェイスやって銃も撃って追いつ追われつでなんやかんやで危機一髪ビルの屋上で一件落着という、こんな感じのスピード感はどっかで観たなと思い返すと『ペントハウス』という映画でした。

「平凡な人生」を表すクリシェ国税局というのも、『主人公は僕だった』での職業と一緒なんですが、携帯電話から住所を探るやり方までは一緒になるのを避けたのかもしれません。その分だけ珍妙な仕掛けになってしまって…そうそう、マーク・ウォールバーグを観たのは『アザー・ガイズ』以来ですが、なんかパンプアップしてましたね。筋肉バリバリのエロ男役でした。この人は特徴のあるツラをしてるからすぐ分かりました。一体あの役柄は何者なんだと、そういうこと詰めるとキリがないのでやめときましょう。

出てくる警察は『アザー・ガイズ』や『ホット・ファズ』と同様二人組。やっぱり警察は必ず二人組っていうのは映画の基礎なんでしょうね。『WILD HOGS』で気になったレイ・リオッタもマフィアのボス役で登場してますが、うーんこれも突き詰めるとよく分からん役柄で、なんかこの辺りのキャラクターとお話との整合性は全く欠けているんですが、勢いだけでなんとか…という感じの映画です。勢いだけはありますね確かに。