『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』を観ました

クリス・コロンバス監督の『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』を観ました〜。

原作のファンタジー小説はエライ売れているそうなんですね。まったくそのあたりの予備知識はありませんが、全体にわたる萌えもしないけど萎えもしない特殊効果は、「ファンタジー」という言葉に引っ張られた結果のように思えます。あと、単純にコメディが足りないところは、やはり原作ありきだったのでしょう。

ま〜あなにしろ、お話のスジは「映画バカの壁」の高さを感じるほどで、仲間たちと3つの真珠を集めてラスボスへと向かえば裏切り者がいて…という直球過ぎる内容でした。冒頭でバカでかい男が水からヌーっと出てくるシーンから、B級映画の雰囲気が漂っておりましたが、中盤、終盤と行くに連れて特効やCGにも慣れてきて、最後の方は結構楽しんでしまいました。やっぱりストーリーが単純だと、映像の意図することをそのまんま脳に刺激として伝えるようになってしまいます。これが映画のバカの壁です。観客は猿です。本作で言うならば、冥界の亡者です。出たものそのまんま食べろって言われたから食べました。

ツッコミどころは満載です。ゼウスがポセイドンに「お前の息子が盗った雷を返せ、さもなくば戦争だ」と言うことから始まる話なんて、もはやさっぱり分かりませんよねえ。神と人間の子供がみんなあの年齢なら、恐らく1980年代の半ばから90年代前半あたりに神々はアメリカで人間をナンパして子供作ったってことになるんでしょう。ギリシャ神話なのに訓練所は中世チャンバラの雰囲気で、『Role Models』でフィーチャーされた安い中世風サバゲーを思い出しました。この安さがB級感を匂わせます。そしてこれで納得しろっていうんだったらしょうがない、こっちとしてはこれで観るしかありませんからねえ、バカになって。主人公に対して周りの人々が「実はアナタは…」と言ってお話が進んでいく点などは、もう本当にバカになるしか選択肢がありませんでした。

ずっとチープならばB級映画として賞賛を浴びるものだったんでしょうが、ただ一貫してチープというわけではなく、俳優陣のメイクもセットもカーチェイスも普通に立派だし、ナッシュヴィルからラスベガスへ、のあたりは『ゾンビランド』にも引けをとらないオモシロアメリカ映画の感じがします。さらには冥界への入口がまたもやハリウッドのサインボード、これは『ステイ・フレンズ』でも使われてました。あのハリウッドの看板を差し挟むセンスっての、一体なんなんでしょうねー。いかにもハリウッドでアメリカ映画を撮ってますっていう気分を楽しみたいだけなんでしょうね、きっと。観ている側としてもそれならそれで納得しますけど。


当然ながら、私はキャサリン・キーナー推しとして観たわけなんですけれども、臭い男と一緒に住んで、アイロンかけて、男が飲むビールを冷蔵庫に取りに行く際にケツを触られて、そんで最初の10分強あたりで一旦いなくなり、最後にまたちょろっと出てきて、トンチンカンなセットで効果前提で演技をする、そんな大女優の扱いでよかったです。なんのこっちゃ、書いててよく分からなくなりました。そういや、冥界のひげもじゃのロックスター風ハデス役がスティーヴ・クーガンでしたね、ちょっとばかし『ハムレット2』を思い出させる絡みでした。こちらも大俳優扱い、当然ですけど。