『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』を観ました

デニス・デューガン監督の『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』を観ました〜。

デニス・デューガン監督、アダム・サンドラー主演の映画では飛び抜けて力の入っている作品のように思えるんですが、ダメだなあって思う作品との落差は一体どうして生まれるんでしょうか。単純にただ予算が違うってだけなんでしょうかね? いろんな個性のある役者勢が、あちこちで細かい笑いを取りまくるこのスタイルが私は好きで、やっぱりコメディはこうでなくっちゃと思いました。

本作品が2007年公開で、同じプロダクションでは、これの次が2008年公開の『エージェント・ゾーハン』という怪物作につながります。以降2010年に『アダルトボーイズ青春白書』公開、2011年に『ウソツキは結婚のはじまり』を公開するのですが、個人的には後者の2作品は、細かい笑いはもちろんてんこ盛りですが、やっぱりどこか熱くなれないなあって感じるんですが…。ただ、本作と『ゾーハン』のふたつで、ある程度やりたいことをやり尽くしたのだと考えたら、それも納得するしかないでしょう。

さて、作品の内容について。舞台はニューヨーク、ブルックリン。年金の受取りのために消防士の二人がゲイと偽って結婚したがために騒動に巻き込まれる…というお話なんですが、ゲイの人権問題や差別問題にも関わってくるためお話にも奥行きがあり、コメディ映画としては随分といろいろ詰め込まれた内容で大変お得感がありました。細かなシーンも含めて大きなお話の流れを少しも邪魔せず、最後の公聴会のシーンをスマートに盛り上げているのは感心しました。特に公衆の面前でキスをする時にスローになるシークエンス、そこに割り込むダン・エイクロイド、随分と本格的。法廷映画並みに魅せてくれます。前半の消防士の消火シーンも相当本格的でした。


一番先に誰かの印象を書くとすれば、ジェシカ・ビールの背筋の素晴らしさ、になるかもしれません。特に肉体派と謳っているわけでもない女優の肉体にすげえなって思うことはあまりない体験です。ムキムキというわけでもないんですが、なんつーかカイナヂカラが異常にありそうな上半身です。腕相撲とかが強そうな感じ。当然エロいカラダだし、それなのにエロいシーンはほぼ皆無だからなおさら印象が強烈でした。

その弁護士役のジェシカ・ビールの弟役にはおなじみのニック・スワードソン。要所で大活躍しておりましたが、それより弟ってのはいくらなんでも…しかしそう見えるから面白い。同様にロブ・シュナイダー演じる司祭は完全にアジア系に見えます。メイクの威力ってのはすごいですね。


年金の凄腕調査員という一応悪役をやったスティーブ・ブシェミ、アメリカ国旗をあしらったウエストポーチを付けた気持ち悪いキャラで笑えました。そうか、この悪役ぶりで思い出したんですが、『アダルトボーイズ青春白書』でも一応悪役で、バスケットボールでの対決シーンで全身ギブスで応援席にいたのは彼でした。この人は顔が気持ち悪いから、悪役が超似合うんですよねー。何かシリアスな役をやってる映画を見てみようという気になります。


アダム・サンドラーの相方、ケヴィン・ジェームズもいい役どころ。序盤は彼がお話を進めています。『アダルトボーイズ青春白書』出演時もそのデブ体型で目に付きましたが、アダム・サンドラーと並ぶ絵もよく、中盤以降はホントにカップルに見える仲の良さが見てとれ、「二人組モノ」としては屈指のバランスだったと思います。


コワモテの黒人消防士を演じるヴィング・レイムスがカミングアウトをするシーンはこの作品の名場面です。クソくだらなくて噴き出してしまいます。バカなシーンを考えるもんだと思ってしまいますが、いいオトナがこのシーンのために知恵を絞って制作していることを思うと震えますねー。

そうそう、市役所での年金の担当者役、レイチェル・ドラッチはチョイ役でも目立ってました。この人は『ウソツキは結婚のはじまり』で、つり上がった片方の眉毛を直しに来る患者の役で出てました。顔芸が生き生きしてていいですね。

チョイ役の方こそ目が離せなくなるのはアダム・サンドラー主演映画の常識になりつつあります。消防士の野郎どもの面々についても小ネタがいっぱい効いてて面白かったです。同性愛反対のデモ団体の連中についてもそうですが、この群衆としての面白さはデューガン監督の良さなんでしょう、そのままゾーハンでのアラブ人の面々に受け継がれているようです。演じる側も楽しそうだし、見ていて実に気持ちがいいですね。