『リトル・ミス・サンシャイン』を観ました

ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督の『リトル・ミス・サンシャイン』を観ました〜。

ロードムービーは観ていて気分が良くなります。たいていのロードムービーは名作なんじゃないだろうかと一瞬思ってしまうのですが、『団塊ボーイズ』はそうでもなかったかな、などと思い出しています。あと『デュー・デート』も西に向かう映画なんですが、そういや『ソウル・メン』は東に向かってました。いずれにしても、アメリカ南西部のあの風景が絵になることが前提にあるから、ロードムービーはほとんどアメリカ映画の専売特許ということになるでしょうね。

本作『リトル・ミス・サンシャイン』もそうした専売特許のひとつですが、まったく超ゴキゲンな映画でした。なにしろ黄色いワーゲンのタイプ2がかっこいいっていう。あと、ゴキゲンな理由はきっと音楽にあると思います。DeVotchKaというバンドがほとんどの曲を担当しているんですが、カントリーやブルーグラスのような聞き覚えのある感じを避けたような、今風のジプシーフォークというんでしょうかねえ、アメリカ南西部のあの風景が21世紀の現代のものであることを思い知らせる役割を担ってて、立派なもんでした。


ロードムービー」だから道中にいろんな事件が起こります。これらの事件が家族にもたらしたネガティヴなムードを、きっとコンテストに出場するアビー演じる少女オリーヴが、最後にこの雰囲気をいい感じにしちゃうんだろうな、というくらいの先読み妄想は十分に許される、とてもいいオモシロ結末でした。コンテストで、死んだお爺さんが遺していったダンスが披露された時は、大笑いしてしまいました。最高でしたよなんつってもリック・ジェームスでストリップだもんなー、ヘロインまでやって老人ホームを追い出されたという素行の悪い爺さんというキャラが大きな伏線となってたというわけです。兄貴役ポール・ダノの「ミスコンなんてクソだ、人生なんてクソだ」もいいセリフでしたが、それを受けての最後の家族全員のダンスシーンでは、日本の阿波踊りの「同じアホなら踊らにゃナントカ」が名文句に思えてきました。

本作はアビゲイル・ブレスリンの大出世作だったようですが、これに比べると『ゾンビランド』では随分オトナになっていたんですなー。ステイーヴ・カレルは自殺未遂をしたゲイの文学研究家をごく自然に演じてます。アドリブをガツガツとかますような感じではないにしても、随所でこみ上げてくるような笑いを作っているのはやっぱりこの人でした。

家族のスケッチを最初に食卓の風景で全部説明してくれる親切さも好感がもてます。口の悪いやさぐれ祖父がアラン・アーキンはハマリ役だと思いますが、父母がグレッグ・キニアトニ・コレット、この二人はどちらも観たことなかったんですが、この二人でなければこうはなってなかったと思わせる、代替不可能なしっかりした俳優だったと思います。