『ハッピーニート〜おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』を観ました

ジェイ・デュプラス&マーク・デュプラス監督の『ハッピーニート〜おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』を観ました〜。

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邦題はともかく、これは良作です。個人的にはとても好きです。

日常のサインに啓示を受けるなんて機会もめったになくなってきたような気がします。神通力なのか第六感なのか、はたまたマリファナで得られた妄想なのか、それは人さまざまだと思いますが、今日もあえなく日常に虐げられてしまったという時には、やはり残念ながら啓示が受けられなかった日でもあります。

本作でのこの「サイン」の取り扱いがとても面白くて、ジェイソン・シーゲルニート男の役からすればそれは妄想なんですけれども、例えば母親役のスーザン・サランドンが花の絵を書いた紙飛行機を受け取るところも啓示のひとつでしょうし、一方でフーターズで打合せするようなテキトーな兄貴役のエド・ヘルムズでさえも、些細な予感を受けながら嫁との不和をどうにかしていこうという、大変前向きな映画なのですよね。

大雑把にアメリカ映画と言ってしまって申し訳ないんですが、アメリカ映画の良心、良いところはこういう映画で見られるんですよね。家族をテーマに懇切丁寧に作った映画ということでは『リトル・ミス・サンシャイン』や『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』、『キッズ・オールライト』と並ぶ、そして『幸せへのキセキ』や『みんな元気』以上であると、同じ監督の前作『僕の大切な人と、そのクソガキ』よりははるかによいと、思います。

まあこういうタイトルと並べているようじゃまだまだマニアックな映画って気もしますが、それでも底に流れる「家族」というテーマ、「家族」に対する危機感ってのは、やはりこれらアメリカ映画の大きなモチーフになっているのでしょう。

デュプラス兄弟の監督作は二つしか観てませんが、行間を読ませようとする繊細な部分と、ぐしゃーとかぐっちゃぐちゃという擬音が似合うようなベタ描写が混ざってくる感覚が、とても好きになってしまいました。妙なカメラワークも今っぽいし、よく分かってらっしゃる方々なのだなーと勝手に思っています。『クソガキ』にしても、名優を好き勝手に演じさせてたような部分もありましたが、本作ではジェイソン・シーゲルとエド・ヘルムズが、「おちこぼれ兄弟」として存分に演じさせてたなーという気がします。

ジェイソン・シーゲルもエド・ヘルムズも、もはやテッパンのコメディ俳優です。ジェイソンは『寝取られ男のラブ・バカンス』や『ザ・マペッツ』、エドは『ハングオーバー!』のシリーズでハネました。この二人が共演するというセンスもいいんですよね…キャスティングへのこだわりが、例えば母親役のスーザン・サランドンや嫁役のジュディ・グリアなんかにも現れていて、好感しか持てないんです。困ったもんです。