『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』を観ました

エドガー・ライト監督の『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』を観ました〜。

ダメな邦題にはいつでも愚痴る用意があるのですが、この映画については邦題のセンスがぴったり来ます。恐れ入りました。原作がカナダの漫画なのでその実写版といったところ、と言いたいのですが、はっきり言ってこれほどの意欲作、問題作は近年稀ではないのかなと思ったりしています。エドガー・ライトがやりやがった、といった感じです。アナ・ケンドリックと交際したきっかけという意味でも。『ホットファズ』もマニアックでしたが、まーあその5倍ぐらいは凝っている感じです。

この映画をどう評価するかはきっと難しいことでしょう。映画人だったら多分否定から入るのかもしれませんが、漫画、ゲーム、ロックのノリからすれば、そんなに違和感がないはず、というのが観た後の気持ちです。とは言っても、観ている途中は戸惑いの方が多かったんですけどねー。このくらいで惑わされるのも癪なので、私は肯定しますよ。ええ全肯定します。この登場人物たちのような、ゲームとロックの世代におもねるわけではないんですけど、同じマンガ的な映画『スーパー!』よりもその点は徹底してて気持ちがよかったです。

まず映画内の時間の流れが異常なスピード感で、マンガ手法を徹底したら映画ってきっとこうなるんだろうと思いました。もうこの点が、映画を否定しているかのようで挑発的です。単なる実写版とは言えないと思ったのは、これは果たして「映画」なのかという、まさに根本の問題に直結してるからなんですね。実写版よりもさらにアニメに近い感じです。アニメ映画はまるっきり見ないのですが、今時のアニメは少なくともこの作品よりはもっと「映画的」なんじゃないかなと思います。そういうわけで、本作は「映画的な何か」を求めて観るにはまったくの不向きな作品で、「ゲーム的なマンガ的な何か」で充満しています。冒頭のユニバーサル映画のテーマが8bit音で改変されているのは象徴的です。

…とかね、まあどうでもいいんですよ、観て楽しけりゃ。面白かったですよ、何も得ませんでしたけどね。だからあんまり書く事もないんです、ホントに。

とりあえずアナ・ケンドリックはちっとも出番がありませんでしたねえ。個人的には期待してたんですがまあしょうがないッス。早くピッチパーフェクトが観たい。それから『ジュノ』でも感じたんですがマイケル・セラは絵で見る限り絶対楽器が上手じゃないよなーとか思ったり、ピンクや青の髪の毛が似合うラモーナ役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドは元ももクロ早見あかりに見えてしまったり、やっぱりいろいろ若いのが出てると見てて楽しいですねー。おっさんおばさんがいっぱい出てくるよりは目の薬というのかな、なんかジジイみたいですけどね。そもそもこの映画はほとんど若い連中しか出てきません。ドラマーの女の子役のアリソン・ピルや中国系の女子高生役エレン・ウォンって人らはカナダの女優さんだってことを知って、なるほど見たことないわけです。


コーヒー店で禁止用語を連発していたオーブリー・プラザは『素敵な人生の終わり方』でも同じようなメガネをかけたコメディエンヌ役だったのを思い出しました。噂話ばっかりしてて、なんだか感じのよくない女の役でしたが、実に似合ってたと思います。彼女は楽しみなお笑い女優ですねー。