『ランパート 汚れた刑事』を観ました
オーレン・ムーヴァーマン監督の『ランパート 汚れた刑事』を観ました〜。
絶対にタイトルに騙されてしまう人が後を絶たないと思われるので最初に言っておきますが、銃撃戦やカーチェイス、お笑い、法廷シーンすら一切ありません。実際にあった悪徳刑事の起こした事件を下地にしたゴリゴリと音がするほどの硬派な映画でして、華やかなポリスメン映画のアンチテーゼなのかもしれません。主演の「汚れた刑事」ことウディ・ハレルソンがゴリゴリ男というのもひとつの原因です。いやあこの人、天竺鼠の川原みたいなサングラスしてるのに、意外と華がないんだよなー、『ゾンビランド』を見てたんで、少しはオモシロ演技を期待してたんですけど。まあ「華やかさへのアンチ」と考えたらこのキャラ作りは納得なんですけどねえ。
地味で硬派だから、つまらない評価になってしまいそうな予感のする映画ですが、ただひとつだけ取り柄があって、映像の絵作りはかなり攻めの姿勢で、いろんな撮り方に挑戦してて見応えがありました。ちょっと前衛っぽい工夫さえします。一例として挙げるなら、街中のシーンでしつこくまとわりつくように流れるチカーノラップの音、ランパート分署の前の抗議のデモ隊らしき声はするけど一切姿が出てこない点、弁護士との会話のシーンの撮り方などは、映画論としてどうのこうのやるにはもってこいのサンプルなのかもしれません、よう知らんけど。ただよう分からんシーンもあって、地下の乱交クラブでハンバーガー食って吐いて、ってあたりはひどかった、と思います、個人的に。
自らの暴力が招いた騒動でテレビにも取り上げられ、娘との関係が悪くなっていくことに苦悩するウディ・ハレルソンの演技にジットリと浸れるわけですが、その分他の役者はあまり目に入りませんでした。一人だけ挙げるとしたら、アイス・キューブですかねえ。警察内でウディ・ハレルソンの挙動を内偵する刑事の役でした。私が観たのは『奇跡のロングショット』以来ですが、ひと目で分かるってのはやっぱり重要ですね。
よくこんな真面目な映画をクソ真面目に観たもんだ、と我ながら思います。もっと笑える映画が観たくなりました。