『私だけのハッピー・エンディング』を観ました

ニコール・カッセル監督の『私だけのハッピー・エンディング』を観ました〜。

なんだかんだと言いながらも、『私の中のあなた』『50/50』といった「闘病モノ」の映画、結構見てますねえ。私が選んで見ているというよりも、思った以上にこの手の映画は多いってことなんでしょう。時間軸とともに病気が進行していき、最後に死が待っているわけですから、ある意味結末が分かっている映画です。なのになぜこれほど多く作られるのか。それほど死に様とは、生き様と同じくらいに重要なテーマってことなんでしょうかねえ。

ケイト・ハドソンという女優は、笑顔がほんと素晴らしいんですねえ。笑顔で金が取れる女優です。彼女がウハウハ笑うだけで、見ているこちらも楽しい気分になってきます。そんな彼女に、ガンに冒される女性を演じさせるなんて、なかなか頓智の効いたキャスティングで気に入っちゃいました。

んで、その彼女が死ぬ間際に主治医と恋するという、昼メロでも最近は見られないようなスジが、逆に一周回って新しい気もしました。天国シーンが出てくるというのにもちょっと驚きましたねえ。幼稚な絵だけど新しい見せ方、なんでしょうかねえ。ウーピー・ゴールドバーグが神様役でしたが、『エバン・オールマイティ』でのモーガン・フリーマンを思い出しました。最近の神様はアフリカ系が流行りなんでしょうかねえ。

さて、どうして、いかにも女子限定風な売り出し方をしているこんな映画を見ることにしたのかというと、目的はルーシー・パンチとロマニー・マルコの二人を見るためでした。死にゆくガン患者を、周りの人はどのように気遣い、看取っていくのか。演技をする者にとっては、実にやりがいのあるキャラクターであろうかと察します。コメディ映画でよく見るこの二人が、どんな風に患者に接していくのか。二人ともコメディができる役者なので、死にゆく者に寄り添って楽しく笑顔で別れていくと決めた友人の役にはぴったり。

特にルーシー・パンチはよかったです。この映画でウワーンと泣くまではいかなかったんですけど、ルーシー・パンチの演ずるデザイナー役だけは、ちょっと涙腺キましたねえ。公園で主人公の最後を看取るのは彼女でした。それにしても『奇人たちの晩餐会』『バッド・ティーチャー』と並べて見ると、この人はホントに幅の広い役者ですねえ。

隣に住むバイセクシャルの男友だち役ロマニー・マルコも、いろいろと気を揉んでるのにそれを表に出さずに軽く接する様が、いかにも「いい友人」で、死にゆく主人公の運命が引き立ちます。中庭でのダンスのシーン、よかったですなあ。これに比べると『ベイビー・ママ』での彼の仕事はある意味気の毒だなあと…腕のある役者さんなんですよねえ。

ヨカッタヨカッタ、イイ映画デシタ。うんまあ、その程度ですかねえ…あまり意外性はありませんよ。治療を途中でやめたからバリカンでザックリという絵もなかったしねえ。

そういえば、ケイト・ハドソンとルーシー・パンチがドライブしている時に一緒に歌っていた曲は、『ポルノ☆スターへの道』でも使われていたOK Goの「Here It Goes Again」でしたねえ。まったく性格の違う映画で曲が被るってのも面白いもんスなあ。