『チェンジリング』を観ました

クリント・イーストウッド監督の『チェンジリング』を観ました〜。

チェンジリング [DVD]
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えー、『ミスティック・リバー』に続いてこれもまた児童虐待モノかよ…と思ったのはホントです。でも『ミスティック・リバー』とは全然違う趣ですね。こちらは1920年代のロスアンゼルス警察の腐敗と、当時の女性への人権侵害を、実際にあった事件を下地にした映画です。

この映画は好きですね。よいです。これまで観たクリント映画で一番好きです。他の作品で感じた暗くて重苦しいメッセージ性よりも、演者に集中できたというのが理由です。1920年代を再現した美術も観ていて楽しいですね。このストーリーの悲劇性が、往年の名画のような絵の中に収められていることで中和されたのかもしれないです。多分音楽もよかったんじゃないかなという気がしますねえ。クリント音楽って普段はあんまり好きじゃないんですが、この時代設定だと超似合います。

いいシーン、いい役者、そしていい子役たちの見せ場がたくさんあって、終わるのが惜しいほどでした。面白かったのは、アンジェリーナ・ジョリーをはじめとした女性が外で仕事する時のメイクが、笑っちゃうほど濃いんですよね。あと、罵倒語として「ジ〜ザスクライスト!」なんて古臭い言い回しでなかなか昔っぽいなと思ってたら、脚本の中にきちんとF-wordについての言及が登場するのも楽しかった部分です。考えてみたら、私の好きな映画はほとんどすべてファッキンファッキン言ってますから、違和感を映画内の人物が説明してくれてるのは笑っちゃいました。

ジョン・マルコヴィッチの神父役もなかなか驚きましたが、何よりも驚いたのはエイミー・ライアンの「夜のお仕事」の女性です。この前観た『WIN WIN』との落差といったらもう…感激しました。死刑囚ジェイソン・バトラー・ハーナーの、松田優作ばりの「なんじゃこりゃー」な錯乱ぶりや、「恋の予感」シーンまである職場の上司役のフランク・ウッド、『ミリオンダラーベイビー』でのホワイトトラッシュ役が強烈だったリキ・リンドホームは電圧上げる看護婦役、それからすべての子役…実によいですなあ。クリント組に呼ばれる俳優って、やっぱ皆さんスゲエっすよねえ。

駅のホームや聴聞会、法廷、警察署など、いろいろなセットも印象に残ります。あと街の風景も。バス乗り遅れるところ、記者が傘さして待ち構えているところ、アカデミー賞をラジオで聞くクダリもよかったなー。