『チャット 〜罠に堕ちた美少女〜』を観ました

デヴィッド・シュワイマー監督の『チャット 〜罠に堕ちた美少女〜』を観ました〜。

チャット ~罠に堕ちた美少女~ [DVD]
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タイトルや予告編から、女の子が警戒せずにチャットをやって悲惨な目に遭う話だろうと思ったんですが、ほんとにそれ以上でも以下でもなくて、一体私は何のためにこの映画を見たんだかよく分からなくなり…あそうか思い出した、キャサリン・キーナーを観るためでした。

今さら「ネットは怖いよ」というメッセージもないだろうし、果たしてこれが映画にするような内容なのか、と思えてしまうところが、逆に怖い世の中です。実際、出会い系を使った未成年への性犯罪は、ニュースやなにかでもよく耳にするし、ありふれていると感じるんですが、被害者の側に立ったお話の進め方のために、ずいぶんと心の痛む内容となってます。性犯罪というのは重いし、許されないということが、心に刻まれるような映画です。レイプ、ダメ、絶対。よく言えば社会派映画、悪く言えばプロパガンダ映画、免許の更新で見せられる交通事故の映画にも似ています。まあ、あんまり面白いっていうタイプではなく、マジメな映画ですね。

面白いのは、主人公の「美少女」リアナ・リベラトの描写です。オトナにとっては一番厄介なお年頃って感じがうまく出てる、上手な脚本でした。ヴィオラ・デイヴィス演ずるカウンセラーの元へと飛び込んでいくシーンを観た時は、知らず知らずのうちに頭抱えちゃってました。重たい話ですねえ。

レイプされた娘のご両親ももちろん深刻。父親クライヴ・オーウェン、母親キャサリン・キーナーの深刻感は、こういう重苦しい脚本を見事にトレースしてる職人芸に支えられています。幸か不幸か、二人のよい演技は、物語が想像通りに進む度合いを加速させており、はっきり言って早送りで見ても十分伝わるほどになっております。要するにこれ、つまらないって言ってるのと一緒です。

先入観をなくして考えても、九分通り想像した通りのお話です。ただ、エンドクレジットの手前に性犯罪者をもう一度登場させたことで、この映画の扱っている問題の深刻さが強調されているのはお見事でした。