『シンデレラマン』を観ました

ロン・ハワード監督の『シンデレラマン』を観ました〜。

シンデレラマン [DVD]
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ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2006-10-20)
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怒りの葡萄」の時代、1930年代にアメリカ国民を熱狂させたアイルランド系ボクサーのお話。『チェンジリング』の時代から少し下った頃のニューヨークの絵は、やっぱり洗練されてんなあという印象です。『チェンジリングの舞台のカリフォルニアは確かに都会でしたが、本作のニューヨークに比べると大きな田舎って感覚なんだろうなと思いました。どちらの作品も時代考証は割と誠実なんじゃないかなと思うんですよね、結構信頼しちゃってます。

絵で面白かったのは、ニュージャージーの港湾労働者たち、それからフーヴァーヴィルの絵です。アメリカ史の本で読むだけでは、あの緊迫したドヤ街的な風景はなかなか想像できませんよねえ。官憲によるレッドパージまで匂わせた絵作りまで盛り込むなんて、かなり無茶な目論見なのに、脚本上はごく自然に奥さんの心配事につながっているんだから、お見事でした。こういう仕掛けが成功して脚本に奥行きが出ているのを見ると、映画はすげーなって思っちゃいます。

基本的にはボクシング映画なので、主軸にはもちろんボクシングの試合があるわけですが、むしろ私は、奥さんがマネージャーの家を訪ねるあたりからの、ポール・ジアマッティへと視点が移るあたりが最高でした。こんな恐慌なのに豪華なマンション住んでやがる、しかし家に入ると最後の家具まで売っ払っていた、マネージャーもまた犠牲を払って主人公に夢を託していた…これはもう、素晴らしいシーンでした。そのシーン以降のポール・ジアマッティの主役喰いっぷりは気持ちよかったな〜。これがポール・ジアマッティのキャラクターの本線、大本命でした。これがあっての名作『WIN WIN』でのコーチのキャラだったわけですねえ。本作品で、ポール・ジアマッティが好きな男優ナンバーワンになりました。