『きっと ここが帰る場所』を観ました

パオロ・ソレンティーノ監督の『きっと ここが帰る場所』を観ました〜。

きっと ここが帰る場所 [DVD]
角川書店 (2012-12-26)
売り上げランキング: 14,762

素晴らしい。「映画を観たなー!」って気分になります。映画でしか味わえない満足感が得られました。個人的にはロードムービーが大好物なので、それもあるかもしれませんが、異様な絵姿のショーン・ペンが旅をヨタヨタとするという構想だけでも、随分と想像が膨らみます。フランシス・マクドーマンドもそりゃあいいけど、どうもこの映画はショーン・ペンの一人勝ちって気がします。

絵のこだわりっていうのか、細部にわたるまでの気の使いようが実によくわかる映像で、空港の向こう側に飛行機がツーンと重なる絵なんてのは予告編でも出てきますけど、いやーかっこいいですよね。何かよく分からないけれどもとにかくかっこいい、こういう感じですね、映画の醍醐味ってのは。なんか言葉にできないし、特に物語やなんかとは関係なくても、なんか知らんけどかっこいいという。この主観は大事ですね。

最近は音楽がめっきり面白くないとか雑誌が売れないとか言われますが、衝動的にこれはとにかくかっこいい、と思い込めるようなブツ、シロモノが、本当に最近は少ないのですよね。特に私のようにおっちゃん的な年齢になってくると、たいていの場合は自分の知識でなんとか解釈して着地するか、パクリ元を知っているだけにどうもこれはアレのナニだな、なんつって、おっちゃん的な思考モードにならざるをえないっていう、そういう年齢的なものも加味しても、この映画はすげえよかったと思うし、なにしろこういうことをやってるショーン・ペンがすげえぞ、となるわけです。

これはかなりいい映画でした。アートとかモードとかいう言葉を連想するのと同時に、一方ではこういったインディ的な映画が商業主義を対象化して観てしまう悪いドグマからいかに抜け出すか、その辺りのバランス感覚が非常に長けてて、美味いものを提供すれば必ず客は入るという哲学を持ったチェーンレストランの経営者みたいな印象です。決して職人的なシェフではなくて、という意味で。