受付係 シャローン・アトキンズ

スタッズ・ターケルの『仕事(ワーキング)!』を読んでます)

今回から新しい章です。ブルーカラーからちょいホワイトカラー気味へと。

中西部の大企業の受付、24歳で夫は学生。コピーライター志望だったが大学の学科がジャーナリズム専攻ではなかったのでダメだったのだとか。毎週のルーティンワークがとにかくイヤだ、という、いかにも言いそうなことを言ってますね。そりゃそうでしょうね。仕事嫌いなのは普通です。

電話をかけてきた人と親しくなることは、あまりありません。相手の顔が見えないから、笑っているのか、皮肉っているのか、思いやりがあるのかないのか、見当がtかないんです。だから、どうしても話し方がそっけなくなってしまって。人と話している時も、そうなってるのが分かる。なにか細切れの言葉しか出てこなくて、断片的になってしまうんです。一日中電話で話しているのと同じようにね。

どうもこの時代のアメリカの受付係というのは、とにかく電話を取り次ぐ仕事だったようです、っていまも同じか。フロントに座っている美人さんのことではないようです。ついつい仕事の時の話し方になってしまうから家では絶対電話に出ないとか、普段の会話も行動も、電話があるから細切れになってしまう、自分の時間にはせいいっぱい仕事以外のことを想像して、それを電話のない国と呼んでる、こんなちっぽけなボタン付きの機械に指図されてて、サルでもできる仕事だとか、ま〜あ大変な愚痴です。

はじめは、うそをついているのがばれているような気がして、どぎまぎしました。なんともむなしくて、一瞬沈黙があると、なにか悪いことした気になったりするわね。はじめは、「席をはずしております」というのを、遠回しな言い方で言うようにしてたんですけど、それもなかなか大変で、そのうち面倒くさくなって、今は、「席をはずしております」と言うことにしてるんです。どうせ顔が見えるわけじゃないし、電話越しに話しているだけですから。

昨日書いたクレーン運転手ってのは、自分の建てたビルに誇りを持っているという表現でしたが、彼女もなにか作る仕事がしたい、たとえば時計職人とかがいい、というように語ります。こういうストレスフルな仕事ってのは、どこかにストレスの出口がないとちょっとすぐにつらくなっちゃいそうですね。その点これまで取り上げてたガテン系の方が、なんだかんだで誇りを持って仕事ができたり、組合活動に賭けたり、楽しみってのは多そうにみえますね。


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