航空券予約係

スタッズ・ターケルの『仕事(ワーキング)!』を読んでます)

ベリル・シンプソンが航空券予約の仕事をしてたのは、コンピュータ化の波をもろに被った数年間だったようです。ちょっと時代が感じられるように引用します。

会社にはセーバーってコンピューターを入れてる。電動タイプライターみたいなものね。記憶装置ドラムがあって、その情報は永久に保存できる。セーバーってすごく値段が高いから、なにもかもがこの機械中心になってしまっている。セーバーが故障。セーバーがうごいている。セーバーはこうだああだ、なにもかもセーバーだった。

セーバー様々で、おかげで電話も三分できりあげなきゃならないのよ。たった二十秒、早口言葉ってよんでたけれどね。その二十秒で情報をセーバーに入れる、そのあとはべつの電話にでなけりゃいけない。まるで生産ラインだったわ。わたしたちが機械に自分をあわせたわけ。

コンピューターを予約にいち早く取り入れようという発想は、航空業界をずっとタフなものにしたのでしょう。この頃コンピューターの未来の夢っていうのは、立場が変わればただ仕事がつまらなくなるだけだったのかもしれません。

航空会社の人があつまれば、みんな航空機の話ばかりね。それしかないのよ。それかジョニー・カーソンぐらいね。みんなテレビ人間だから。

要するに多忙でつまらない、人間的ではない。それでもスチュワーデスではなくても、給料は高い、社会的地位も高かったようです。

田舎へ帰ったりすると、地元の新聞にわたしの写真がのり、航空会社で働いていて、最近なんとかって異国の旅からもどったばかりとかなんとかよくかかれたわ。ロマンチックね。

ロマンチック…皮肉で言ってます。

時が過ぎると、いまひとつイメージしにくくなってくるんですが、確かに日本もスチュワーデスや航空会社がもてはやされてたなあって、記憶にはあります。しかし栄枯盛衰なんて四字熟語を使うのもイマイチですけど、このサイクルってのは航空業界に限った話ではなくて、特にコンピューターの出現以降、新しい職業が出来て古い職業が消滅するサイクルが早くなってると思うのです。

そういえば、空港の荷物を扱ってる人たちを見ていると、あんなに始終緊張感あって、しんどい仕事もなかなか他にないかもなという気がします。給料高いんでしょうか。高ければいいですね。