『堪忍箱』を読みました
宮部みゆきさんの『堪忍箱』を読みました〜。
宮部さんのことはちょっと超人扱いしたいのです。どんな作風でも自在に書けるという点、なによりも読み手のニーズを無視しないで確実な数字を出し続けている点、そして大事なことですがタイトルを量産しているという点で、もはやイチロー以上の存在と言えます。藤沢周平さんとはやはり違う。藤沢周平はたとえるなら近鉄の新井宏昌ですから。真の野球ファンなら、新井宏昌とイチローを較べたりするでしょうか(いいえしません)。
さてそんなわけで、この短編集『堪忍箱』ですが、文庫版の初版では平成13年。結構古いんですね。
「堪忍箱」「かどかわし」「敵持ち」「十六夜髑髏」「お墓の下まで」「謀りごと」「てんびんばかり」「砂村新田」の8編。全部舞台は江戸ですけど、まああんまり統一したテーマはなさそうですね。それだけにほとんどすべての作品の読後感が異なるという、妙な短編集です。
堪忍箱
ホントに恐ろしい話なのかと思わせぶりな。サゲの尻切れ具合がいいですね。
かどかわし
落語みたいな。二段オチになってます。
敵持ち
そりゃ確かに長屋にいるお侍さんってのは大抵が訳ありなんでしょうけどねえ。
十六夜髑髏
こういうおっかないテイの描写は好みじゃないんですが、宮部さんって軽くやっちゃうんですよねえすげえ。しかもホラーじゃなくてホラーもどき。映像化したら面白いのかもっつってもホラーとか観るわけないんですけど。
お墓の下まで
イントロがよかったです。秘密をひとつずつ解いていく形式も音楽っぽいです。
謀りごと
だから長屋にいるお侍ってのは、いつだってジョーカーなんですよね。しかしこれ、殺人現場に長屋の全員が集まるというあたりは「犯人はお前だ!」っていう話なのかと思わせられて、心地よかったです。
てんびんばかり
女性にしか…とは言いたくないんですけど、嫉妬については女性のほうが上手ですね。