『ラブ&ドラッグ』を観ました

エドワード・ズウィック監督の『ラブ&ドラッグ』を観ました〜。

「予想外に」とか、「思いのほか」と文頭で始めるのは、これはもう仕方がないですね。

ほとんど書かなくなったDVDの感想文を、こうやってまた書いてみようと思わせるほどの力を、この映画は持っていました。名作だの良作だのと言うのは人それぞれ違った意見もあるでしょうけど、少なくともこれは「いい映画」に入るんじゃないかなと思います。ストーリーに緩急を付けて深みをより深く見せていたように感じます。二大俳優の力量が優っていただけとは思えず、脚本も演出も異彩でワクワクしました。これはイイもん見せてもらいましたヨ。

ぶっちゃけて言いますと、こちらの映画のアサハカさが際立ってしまって、アン・ハサウェイも罪作りな女優だなあと、思ってしまいました。もちろん『レ・ミゼラブル』を観た現在からこの当時を振り返るならば、そんなの当たり前だべ、って気がしてしまいますけどね。一応、大筋のストーリーとしては、宣伝文句に違わない「ラブコメ♡ム〜ビ〜」なわけですが、そういう映画をこういう俳優で撮ったら、こういうことになってしまうのだな、と1つ学べたような気がします。

いまラブコメってワードを出しちゃったからついでに私見を書きますと、「会いたい!」ってのと「出てって!」ってワードの繰り返しですからね、男と女のラブゲームってのは。大抵が感情的で理不尽なものだしそういう脚本になっちゃうのは当たり前なんですが、なんかその理不尽さをどう消化できるのかってのが役者の見せ所なんでしょう。アン・ハサウェイはお見事だったと思うし、劇中時間が経つに従って変化していくジェイク・ギレンホールの役どころも、さもありなんとは感じましたが、演出も含めて非常に上手に見せていたと思います。そして大事なのは、この上手だったなんつー感想は、この二人の主役についてのみ言えばそうなるわけでして、はっきり言ってそれだけ見せられてもいいオトナの観客は納得しないっていうことです。アイドル使った高校生の恋物語だったらまだしも、セックスしましょう別れましょうで、一本の映画として成り立つはずもありません。

そこで、ですよ。ワタクシ実はなるほどなーと思ったシーンはですね、パジャマパーティなんですね。観客の目線や意識は、ちょっと寄り道というか、そっちに持ってかれちゃうわけです。そのあとにまたバッタリ再会しちゃってと…、なるほど、こういうの挟むよな、いい映画って。王道だわなあ。思い返せばいろいろ思い当たってですね、ああこりゃ監督が上手、というか正統派なんだなって、思っちゃったのですね。オリヴァー・プラットの営業の上司役の配役なんかも、ブレがないですよね。弟さん役もよいのを選んだなあって。なんかねえ、脇は大事ですよ。これヘタしたら、さっき挙げたアサハカな映画みたいに美男美女になっちゃったら大問題なんですよね。

そんでねえ、お話の収束の仕方もとても気分がヨカッタ、というより気前がヨカッタです。大盤振る舞いっていう感じ。アン様の表現ってのがそこかしこにテンコモリで、お得でした。

原作も面白そうですね。バイアグラパーキンソン病が絡むって、なかなかの怪作だと思います。