『ポルノ☆スターへの道』を観ました

トム・ブラディ監督、アダム・サンドラー他脚本の『ポルノ☆スターへの道』を観ました〜。

2011年ラジー賞の各部門賞をほぼ総ナメしたアダム・サンドラー主演「ジャックとジル」の評価が各所でひどいので、いまだに借りて観るのが恐ろしいんですが、本作品はアダム・サンドラーが関わり、なおかつラジー賞で「ジャックとジル」と競ったといういわくつきの愚作です。しかし実際、これはシンプルに笑える良作でした。ニック・スワードソンの知名度はアチラの国では相当なもので、テレビはホスト番組を持つほど有名だし、無数のコメディスケッチに登場してますが、彼をはじめとしたいろいろなコメディ俳優のショウケース的な点でも、本作はお得でした。桁違いに制作費が安いらしく、主演が違うというだけでこれだけ制作費に差が出ることを思うと、ハリウッドの悪い点についていろいろ言いたくなりますが、まあそれはそれとして。


アダム・サンドラーの影響というよりも、「ゾーハン」の影響、恐らくはサンドラーのプロダクションのハッピー・マディソンの影響を強く感じたのは、ニック・スワードソン演じる主役が、ヅラと出っ歯のかなり強いキャラを被っておりまして、最初にあのキャラで現れて、このまま最後まで突っ切ることができるのか結構ハラハラしてしまいました。しかし結果としては、この人は堂々とした主演級の役者だということが自分の中では証明されました。今振り返ると、ダニー・マクブライトとの絡みで樹は熟したのかもしれませんね。今後も笑わせてほしいです。


もう一つゾーハンと共通するのは、ババア女優使いが大変上手という点です。冒頭のシーンで主人公に予言を与えるババア女優で笑えて、この映画の期待度がだいぶ高まりました。ババアで笑わせるというのはかなりきわどいんですけど、この映画はそれ以上に下ネタが核なのでなんくるないさー。そういえばアダム・サンドラーが出てないから、ユダヤ人ネタは出て来なかったかも…多分そういった気遣い自体はあるんでしょう。


そしてヒロイン役のクリスティナ・リッチヘザー・グラハムと10歳差なんですが、ヘザーを思わせるような系統の顔立ちで、安カワ乙女感がたまらなかったですねー。なんだかなんだで実年齢は30近いわけですけど、コメディの中での立ち位置が素晴らしかったです。日本だったら優香もこのくらいはできるんでしょうかね? 昔見たヴィンセント・ギャロのクソ映画に出てたとはとても思えないです。あ、でもあの当時はまだ17,8歳か、だったらしょーがない。

思うんですけど、クリスティナ・リッチ演じる女の子がバイトしていたような作りのカフェとかトラックストップって、しょっちゅうアメリカ映画に出てくるんですけれども、あの内装を活かしたフーゾクがあってもいいはずなんだけどなー。フーゾクじゃなくてもメイドカフェでもいいんだけど。

ゾーハンの友人で電器店で働く男を演じていたイスラエル人俳優のIdo Mosseriにも再びお目にかかりました。JDという名でポルノ映画会社をやってましたが、なんつーか怪しい訛りの英語がホントによく似合いますねえ。同居人のケヴィン・ニーロン、オカマのヘアメイクのジーン・ポンパ、それぞれによいスケッチがあって良かったです。こういった見たことない人達にお鉢が回ってくる機会が増えるってのは実によいことだと思います。

クリスティナ・リッチが再びトレーを持つためにトレーニングして、ニックがポーンスターとして売れていく過程が同時に流れるシーンです。アキーラがスペリングを勉強しているシーンを挙げるまでもなく、このテのシーンは映画的ではあるんですが、こんな下らないことをいいオトナたちが真剣に取り組んで撮影し、そして実際に成長しているように見せていると考えてしまう私の、涙腺のツボなんですよねえ。流れている音楽もよかったなー。OK Goの「Here It Goes Again」という曲です。ここは胸の熱くなる大変爽やかな、いいシーンでしたよー。