『宇宙人ポール』を観ました

グレッグ・モットーラ監督の『宇宙人ポール』を観ました〜。

宇宙人ポール [DVD]
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宇宙人が出てくる映画は哀しいですね。なぜなら宇宙人とは別れる運命にありますからね。そういったほろ苦さを噛み締めて、笑える映画にしてしまう。『童貞ウォーズ』に続いて、モットーラ監督にはまたやられたなーっていう感じです。観た後の爽快感というのか、ああなんだかイイ映画みたなー!っていう満足感というのか、これ即ち生きてて良かった的な感慨に似ています。終わり良ければすべて良し、という言葉でまとめてしまったらそれまでなんですが、やっぱりラストの爽やかさは、最近観た映画の中では群を抜いていると思うんです。

エンディングの曲はELOの『All over the world』、歌詞も実に内容に凄まじいほどピッタリ合ってて美しい。これはミッキー・ロークの『レスラー』のエンディングでBOSSの曲がかかった時に匹敵します。ELOなんて今までダサいと思ってたんだけどなー、この曲は持ってかれました。

このダサいのが急にかっこよく見えてしまうという転換は、イントロダクションのコミコンから始まるシーンなんてのにも含まれていると思います。ふと宇宙人目線で思ったんですが、コミケやコミコンが、現在地球上で一番楽しそうな場所に見えるんじゃないかなと。そこにわざわざイギリスからやってきたオタク旅行者二人組から始まるという、ハー、これは見終わった後に考えると実によくできていますね。しかもその二人組、主演のサイモン・ペッグニック・フロストは、私は初見でしたけど、なんでもオタク的なキャラクターではつとに有名な英国のコメディアンなんですよね。だからコミコンから始まるのはうってつけ。完全に宇宙人ポールが合成のキャラなので、撮影自体は特殊だったと思われるのですが、それでも二人組のいい持ち味出してましたねー。宇宙人ポールが道中で彼らのことをロッキー&ブルウィンクルに喩えていたように、まさに「おかしな二人組」感をにじませていたように思います。YouTubeで観る限りは、この二人の絡みはもっと面白いのを期待できそうです。

それからポールの声やキャラを全面的に担当したのは、またもやゲス、じゃなくてセス・ローゲン『50/50』でも好感度が上がりましたが、またもや天井知らずに上がりっぱなしです。こんな大麻ゲス野郎が男友達にいたら最高ですね。毒舌なのに理に適っている感じは、日本のバラエティで言ったらさしずめ有吉弘行ってな感じかもしれませんが、「実はいい奴」ではなくて「見るからにいい奴」ってのがセスの良い所。

他の笑えるキャストも多かったんです。ビル・ヘイダーは比較的シリアス、その分だけ相棒役のジョー・ロー・トルグリオがボケ役。どちらも童貞ウォーズに出てました。それほど笑える感じでもなく、ポンコツ警官二人組、とまではいかないのですが、二人とも持ってくところはガッチリ持ってきます。

そして映画的にはおなじみ、政府からの追手であるエージェントには、『Up in the air』でクルーニーの上司役やってたやり手名優ジェイソン・ベイトマン。この人単体で見ると超カッコイイんですが、彼が「Motherfucking titty-sucking two-balled BITCH」とカマすシーンはズッコケました。この映画、全編通してずーっと罵り言葉をいじくっているんですが、この言葉が究極でしたね。よう知りませんが、彼の役名「Lorenzo Zoil」は、「Lorenzo's oil」という映画に文字ったジョークだったようです。

『俺たちニュースキャスター』でのスポーツ担当の野蛮なデヴィッド・ケックナーは、またもや典型的なレッドネックぶりがハマってました。ゲイみたいな男二人組のヨソ者には容赦しないぞという荒くれ男のテイでしたが、そうそう、そういえばその酒場にジェーン・リンチもいましたねー。変なカツラつけてバーテンダーやってました。

実は「E.T.」知らないんすよーワタクシ。ガソリンスタンドでReese's Piecesを頼むポールや、ポールがスピルバーグと電話するシーン、最後の宇宙船に乗り込むところ、などなど、知ってる人なら笑えるジョークが随所にあったわけですが、まあ知らない自分でもこれだけ挙げることができるわけですから、E.T.知らなくても平気なのは明らか。実際のところ、めちゃくちゃ笑えるというほどではなかったんですがね、最初に書いたように観た後が爽やかだったもんで、まあそんなに気になりませんでした。別にねえ、いまさら宇宙人と遭遇してどうのこうのってネタだけを考えたらねえ、そんなにねえ。