『ジョイフル♪ノイズ』を観ました

トッド・グラフ監督の『ジョイフル♪ノイズ』を観ました〜。

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音楽好きを自負する人なら見ておきたい映画…とか言ってみたいんですけどね、実際「音楽♪好き」同士が集まって飲んで音楽の話をしても、まず間違いなく話が弾まないほどに、「音楽好き」は細分化されていますからねえ。せいぜいこの映画も「ゴスペル好き」あるいは「ドリー・パートン好き」にオススメする程度かなあ。それもまた残念な話ですねえ。ホントに私個人的には、広く音楽ファンに見てもらいたい映画だなって思ったんですよね。

というのも、多分この映画、相当の音楽好きが作った映画だと感じたからなんです。音楽や歌を撮ろうとする態度が非常に熱くて、歌だけで十分ハートに響く、見応えのある絵でしたよ。

『ジョイフル・ノイズ』ってのは、アマチュア聖歌隊の大会名らしいです。ジョージア州のパカショーという田舎町の聖歌隊がそれを勝ち進んで行き、カリフォルニアでの全国大会に出場するっていう話です。ちょっとオトナの女になった感のあるキキ・パーマーが出てるから、『アキーラ・アンド・ザ・ビー』や『奇跡のロングショット』に印象が被ってくるんですけど、ああいったスポ根感は皆無で、むしろ歌を随所に挟んでいくタイプの『ドリームガールズ』的なミュージカル映画に近いです。で今気が付きましたが、これでキキ・パーマーを観たのは3作目っすねえどうなってんだか。もしかしたら私が惚れてるのかもしれませんなんつって。

なにしろ冒頭から聖歌隊の歌で始まるんですが、ラストかと思わせるような尺の長さです。なるほど、歌を楽しむ映画という作品の構造が分かってくるまではちょっと時間がかかります。お話の内容は、はっきり言うとダサいです。このダサさがたまらんというのもありますが、それ以上に歌がよくって、特に心打たれたのはカントリー女王ドリー・パートンの"From here to the moon and back"という曲。顔は化物じみているんですが、この人の歌のシーンは本当によかった。それに加えて、クイーン・ラティファの眉間のシワ…じゃなくて、"Fix me Jesus"というゴスペル曲のシーンもねえ、実によかった。二人がまさかの大喧嘩をするシーンもあって、そのあたりは大変映画的に美味しかったです。でも、マイケル・ジャクソンの"Man In the Mirror"が出てきた時には、さすがに「gleeかっ！」とツッコミましたけどねえ。確かに振り返ってみると、全体的にGleeっぽい選曲センスであったかもしれません。

「映画的に美味しかった」と書いたのは、この2人の歌のシーン、主役の聖歌隊の歌のシーンってのは、役柄としての演出込みでよかったという意味でして。本作品のサービスはこれだけにとどまりません。地区大会、全国大会でのライバルの聖歌隊はガチです。デトロイト代表のカーク・フランクリンはとにかく「本物」！でびっくりしました。今のゴスペルのライブそのまんまを、まるでドキュメンタリーとして映像に収めた格好になっております。それから全国大会でのアイヴァン・ケリー・ジュニア。幼少期マイケル・ジャクソンを模した芸が人気の歌手ですが、こいつもかなりヤバかった〜。観客はもちろん仕込みなんでしょうけれども、相当盛り上がっている様子が見て取れます。

お粗末だったのは最後の最後、主役の聖歌隊の曲があんまりアレンジがよくねーなっていう気がしましたが、まあまあ、それもいいでしょう。スライ＆ザ・ファミリーストーンのハイヤーがここで出てくるわけね、と一人ウンウン頷きながら観ておりましたよ。

あと、Angela Groveyというミュージカル女優さんが面白かったですね。付き合った東洋人が高血圧で死んじゃって、その後また東洋人に口説かれた役の人です。検索したら、この人ガチで歌上手なんすね。彼女の結婚式がラストシーンになっていますが、うん、とてもいいラストシーンでした。温かい気持ちになれました。もしかしたらこの映画の出演者で、他にもすごいメンツがいっぱいいるのかもしれませんね。

しっかし、キキ・パーマーにしろジェレミー・ジョーダンにしろ、あるいはアナ・ケンドリックにしても、向こうの若手俳優さんってのは、どうしてこんなに普通に歌が上手なんでしょうかねえ。日本の若手女優さんでここまで上手な人っているんでしょうか。そうやって比べるから妙なことになってしまうんで、あんまり日米を比べないようにはしたいんですが、どうもこればかりはねえ…向こうの底の厚さがスゲエってことなんでしょうね。

Joyful Noise

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