『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』を観ました

ポール・フェイグ監督の『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』を観ました〜。

私が「最高でした」という時の信頼度がほかの人にとってどれほどのものなのか、そんなこと気にしてもしょうがないですが、とにかく最高に楽しかったです。

脚本&主演のクリステン・ウィグに拍手。彼女のキャリアの集大成です。私にとっては、『宇宙人ポール』でのヒロイン級の活躍でも、まだ「なんとなく見たことある」人だったんですけど、これでやっと認識できました。検索してみて、クリステン・ウィグを実は私はすでに何度も見ていることを知って、愕然としちゃいました。『俺たちダンクシューター』ではバスケの試合の余興で呼んだクマ使いの役『ウォーク・ハード ロックへの階段』ではジョン・C・ライリー演ずるデューイ・コックスの奥さん役『デート&ナイト』にも出てティナ・フェイと絡んでいます。『アドベンチャーランドへようこそ』ではビル・ヘイダーとともに遊園地の上司をやっています。これまで、めちゃめちゃ観てました…すいません。どうしてこれまでチョイ役としても印象が薄かったかというと、ただの美人っぽい女優だと思って軽視していたんだと思います。なんという残念な日本人。

そのほかの女優陣も誰が誰やら、実はさっぱり認識しておりません。『アダルトボーイズ青春白書』にも出演していたマーヤ・ルドルフでさえも、すいません「なんとなく見たことある」止まりなんですね。彼女のウェディングドレス着たまま路上でウンコ漏らす大ネタは、くっきりと脳裏に刻まれました。歴史に残る名シーンです。そういえばDVDの初めに、ユニバーサル100周年の宣伝映像が入ってたんですけど、その中で『40歳の童貞男』の、スティーヴ・カレルがガムテープで胸毛をベリっと剥がされるシーンが選ばれてましたが、あれに匹敵する強烈なシーンだと思います。

女優だけではなく、映画の中の設定、すなわち、ウィルソン・フィリップスを結婚式に呼んで大合唱、みたいな、本作品に出てくるこういうお年頃のアメリカ人女性のリアリティに至っては、もはや全然分かりません。ただ、無知だからこそリアリティを感じられるという特権はあるんです。例えばラグビーをやってた人が『インビクタス/負けざる者たち』を見てどう思うか、を考えると、自分が感じたリアリティとはまったく異なる可能性もあるわけです。『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』にしても同様で、バードウォッチングに詳しい人がアレを見てどう思うか、聞いてみたいものです。実際、確固としたリアリティなんてものは映画の中にはあるはずもない、それを前提にして映画は楽しむべきもので、「○○の作品はリアリティがない」などという映画評は、映画評としてリアリティがないんです。なんつって。

ちょっと話はみ出しついでにメモ書き程度に残しておきますが、「コメディの中のリアリティ」というのも実に興味深いネタだと思います。ロンハーかアメトーークか忘れましたが、狩野英孝は白いスーツを衣装にしてから売れるようになったと聞きます。「ラーメンつけ麺僕イケメン」というラインを際立たせた白いスーツ、そこに「コメディの中のリアリティ」の謎が潜んでいるような気がしてなりません。例えば本作品で大ブレイクし数々の賞に名を連ねたメリッサ・マッカーシーの演じる役の衣装、格闘技がどうも好きらしいという言動、左手のサポーターなどに、リアルさを感じたのは私だけではないと思います。マット・ルーカスとレベル・ウィルソンの兄妹にしても同様です。映画を離れてシラフの頭で考えたら、あんなおかしな兄妹のルームメイトはありえないんですよ、しかしコメディの中に入るととたんにリアルなキャラクターになってくるという。レベル・ウィルソン最高におかしかったです。『ピッチパーフェクト』への期待が高まっちゃいました。

細かいネタはもちろん盛り沢山ですが、それ以外で特に長尺の部分では、スピーチ合戦、食中毒、飛行機内のコント、このあたりが印象に残っています。いずれも想像つきそうもないオモシロ脚本で、「女性ならでは」って表現するのにふさわしい部分でした。私が思いつきそうなのはせいぜい対抗心を燃やすテニスのシーンぐらいなものです。脚本はホントに想像の上をいく優秀なもので、このタイミングでケーキを作るのか、とか、目からウロコでした。お母さん役のジル・クレイバーグ(遺作となってしまいました。合掌)をギュッと抱きしめるシーンなんかも上手。ホントに何をやってもうまくいかない、どん底の女クリステン・ウィグのキャラクターが、愛おしくなってきます。

男の俳優の活躍しなさっぷりは想像つきましたが、男が活躍しないことがこれほど好意的に取れる映画は初めてかもしれません。マット・ルーカスはもちろんチョイ役ですが、やり終わったらとっとと帰れと実に爽やかに伝える最低男のジョン・ハム、優しさが逆に仇となる州警察の警官役クリス・オダウド、皆さん役柄に忠実で、完全にクリステン・ウィグの引き立て役であったことが、今思うと素晴らしいと感じます。あと宝石店の上司役のマイケル・ヒッチコックのセクハラキャラも軽妙でした。男優陣を必要最小限に抑えたことが奏功したのではないでしょうか。

それにしても絵になる6人。いい脚本。脚本はクリステン・ウィグとアニー・マモローの共同で、プロデューサーはジャド・アパトー。同じメンバー、同じプロダクションでの続編、是非観たいですね。主人公は結婚式を挙げなければならないし、ケーキ屋だって再建しなければならないんですからね。

Bridesmaids
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