『ミスター・アーサー』を観ました

ジェイソン・ウィナー監督の『ミスター・アーサー』を観ました〜。

Arthur (2011) [DVD]
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超金持ちの御曹司が政略結婚と庶民の娘との恋を天秤にかけるという、昔からあるストーリーです。

80年代の映画のリメイク版とのことで、いつの時代でもこのストーリーはわかりやすくてイイっすねえ。結末まで観客の誰も裏切らない、呑気な映画鑑賞にはもってこいですね。あまりにヒネリがなくて呑気すぎるので、映画を観る時間を節約したい人にとっては、もしかしたらクソ映画ってことになりそうです。事実この作品はラジー賞にもノミネートされているし。古典的なストーリーなんだから古典で楽しんだ方がいいという意見もごもっとも。

要するに、リメイクした意味のあまり感じられない、とも言えるお話の設定でした。

コメディとしても、なかなか厳しい評価になりそうです。気色悪い声と顔が持ち味のラッセル・ブランドの演じるキャラクターはアル中の金持ちというだけではなかなか笑えず、下品さ、サイコっぽさ、もしくは寛容さを、もっと演出して欲しかった気がします。ヘレン・ミレン陛下(!)が演じた上品すぎる乳母が、「メチャクチャな御曹司の後始末を完璧にこなす」スーパー乳母として見えるようなシークエンスが圧倒的に足りなくて、二人の人間関係がちょっと地味に見えちゃったのも惜しかった部分です。でもヘレン・ミレン陛下がホリフィールドに「もう片方の耳噛みちぎるわよ」って言うのは楽しかったなー。この二人が、イギリス英語のアクセントですよ、ってところで十分面白いでしょ、ということなんでしょうけれども、こちとら日本人スからねえ…なんとも。

政略結婚する側のお嬢様役はジェニファー・ガーナーだったんですが、せっかくの悪役なのになかなかのお気の毒な役柄でした。自由奔放にSM嬢になるクダリはコメディとしても意味不明だし、こっちのお嬢様の気持ちはどうなんだか、どんだけ建設会社の娘ということにコンプレックスがあるのか、どんだけ金と家柄目的なのかってのが、さっぱり分からないのがドラマとしても残念です。

あと、ルイス・ガスマンがなぜここにw…という違和感が。いるだけでまあ変だから面白いんですが、ヘレン・ミレンの乳母と、ルイス・ガスマンの執事の落差も、もっと面白く見せることができたはず、と考えると残念過ぎます。

コメディ部分は序盤早々で諦めたんですが、それでもこの映画の魅力、この映画が努力した部分は、もぐりのツアコン役、グレタ・ガーウィグにありました。なんともまあカワイイ人、カワイイ衣装の連続。ラブロマンスの映画を結構見続けていると、どうも「カワイイ」への感度が高まるらしく、私もまったくオカマでもゲイでもないのに、この映画に込められたカワイイというセンスに反応できました。チューンアップしたスポーツカーや磁石で浮いてるベッドなどにはピンと来ませんが、ハンドメイド感たっぷりの衣装は実によかったです。自分で付けている名札もハンドメイドだし、その後絵本作家になるという「庶民の娘」のキャラにとても似合ってました。エエ娘やでー。