『翻訳にかける」って言うよなあ…

先日、外国語の文章を日本語に翻訳するときにどうするかという話題で『エキサイト翻訳にかける』という使い方をごく普通にしていました。

そういえば『翻訳にかける」って言うよなあ…

ウィクショナリーのかけるの項目の中で、漢字で書くとしたら、欠ける、賭ける、書けるではないから、「掛ける」であることは間違いないでしょう。

でこの中の、おそらく「馬とロバを掛ける」あるいは「2と3を掛ける」の使い方がこれにあたるはず。この意味で考えると、「エキサイト翻訳にかける」「エキサイト翻訳をかける」どちらも通じるんですね〜これ。

「文章をエキサイト翻訳にかける」「文章にエキサイト翻訳をかける」このどちらの文章も成立するんですな。

さて、ここで不思議なんですけど、馬とロバ、数字の2と3にある関係は、文章とエキサイト翻訳には成立してないですよね?文章に対して一方的にエキサイト翻訳が作用しているんですよ。馬とロバ、数字の2と3、いずれも相互に作用しているんですけれども、文章とエキサイト翻訳は相互作用とは言えないんじゃないかと。

実はかけるの別の意味で、機械を使うという意味の「掃除機をかける」というのがあるんです。もしかしたらこっちの意味なのか、と思ったんですよね。「エキサイト翻訳にかける」っていう言い方が実は誤用で、本当は「エキサイト翻訳をかける」なのかも、とか思ったわけです。

でこの意味で、「エキサイト翻訳をかける」と言った場合、エキサイト翻訳という機械をイメージさせるとしたら面白いなと思ったわけです。掃除機みたいなものとして。とはいっても、機械を使うという意味での「〜をかける」は、掃除機ぐらいしか思い浮かばないんですよ。扇風機をかける、これは言いますね。エアコンは「エアコンをつける」ていう方が普通だし、洗濯機に至っては「洗濯機を回す」なんて言ってますね。だからほんと、ごく一部の機械にしか使ってないこの「かける」を、エキサイト翻訳という得体の知れない機械に使っているというのはちょっと違うなー的な。

でまあ、話をもとに戻すと、「翻訳にかける」っていうのは用例としてあるわけで、これ別に機械じゃなくても、翻訳者に発注する場合でも使うじゃないですか。「そのレポート、翻訳にかけといてね」みたいに。翻訳者に頼んでおいてねっていう意味で。ということはですよ、ここで翻訳者というのは、ある意味機械なのか。そこまで人格を見てないってことなのか、と思うと、それは変だなと思うじゃないですか。

そこでまたひとつ、かけるには影響を与えるという意味で「迷惑をかける」という用法があるんです。
え〜、もしかしたらこれなのか(笑)

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