『キャタピラー』を観ました

早稲田松竹若松孝二監督の二本立てを観に行きました。

まず最初に『キャタピラー』を観ました〜。

若松孝二キャタピラー

游学社
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いや〜あ、どうしましょうか。過去観たなかでも最低の映画でした。

まず、戦時中の田舎という設定を全然気にかけてないんじゃないでしょうか。方言というものがまるでないから気持ち悪いし、村に子供がいないことにも呆れるし、田植えも代掻きも超テキトー。「もう豆がない米がない」ってそりゃどこの都会の話でしょうか、アホらしすぎる。そのくせ気の触れた男を村のシーンに配置しているのはなんなんだ、そこで笑えってことでしょうか。だらしのない学生集団が早稲田の校歌を歌っているのはもう寒過ぎです。戦争での回想のやっすいことといったら…しかも無意味にグロい。ホラーかっていうくらい。

若松さんがなにを撮りたかったのかと考えて、やはり四肢を失った男とのセックスなんだろうなとは思ったんですよね。それはひとつのアイデアでとても面白いと思ったんですよね観る前は。ところがこれでは一発ギャグのレベルです。天皇陛下の写真の前で、戦争帰りの芋虫男が、性欲丸出しで女とハメハメしまくる、という画を撮りたかっただけなんじゃないか、実際これはただのド変態映画なんじゃないかふざけんな、と怒りさえ覚えました。

寺島しのぶ演じる女が石女だと言われたのを思い出して喚くシーンがありましたが、泣きたくなるほどの田舎の閉塞した人間関係が全然見えてこない、密室劇なのに閉塞感がないっていう、これは演出的には大失敗じゃないでしょうか。田舎では隣近所になんでもバレるんだから、悠長に生卵もらってる場合じゃなくて、根も葉もないうわさ話のひとつでも立てられるべきでしょう。

そして終戦(「敗戦」と書かれていましたけど)のタイミングで、あらゆる価値観が逆転するっていう物語なんだろなあとは思ってたんですけど…考えられる中でも最低のつまらないオチでした。傷痍軍人として二人で全国回って昭和40年代まで生きながらえました、おしまい!みたいなオチを想像してたんですが。

要するにもう、全部がだめでした。これは確かに「寺島しのぶ熱演」の映画です。それしかないんだもんなあ…見どころが。演じる側としてはハードルが高い分やりがいもあったんでしょうねえ。カール・ゴッチがホウキを相手にプロレスをするように、寺島しのぶも張り形を相手に芝居することができるんじゃないでしょうかねえ。関係ないかもしれませんが、この映画が海外だかなんだかで評価されちゃっているから厄介なわけです。低予算なりのカルト人気であれば、まだ頷けたんですけどね。

という感じで、最低の流れを引きずりながら、しょうがねえから観るかという感じで、続けて『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を観ました〜、に続きます。また明日。