『元祖江戸前 寿し屋與兵衛』を読みました

白川晶原作、内山まもる作画『元祖江戸前 寿し屋與兵衛』の一巻を読みました〜。

週刊大衆に連載していた寿司漫画です。ひさびさに漫画読んだー。

町工場で働く20年選手の中年が、ある日突然、江戸時代の寿司職人「華屋與兵衛」になってしまうという設定。現実と與兵衛の主人公がところどころ入れ替わる例のSF設定を持ち込んだのが寿司漫画としては新しいところでしょうかね。與兵衛の時の主人公がカッコいい! 女に向かって「いい女だなあんた」「どうだい俺の寿司になってみないか」ってもうビシーッと口説いちゃうんですねーアハハ。そんで普段はうだつが上がらないっていうね、お約束ですけど。

どういうタイミングで主人公が與兵衛になるのかあまり法則はないようなんですが、たいていは回転寿司などの寿司屋で食べてる時になんやかやと啖呵を切るとか、普段の生活で定食を食ってる時にも「米の味が悪い」とか思わず言ってしまったりするようです。仕事終わったあとに思わず「は〜寿司握りたい」と口に出して、(なにを言ってるんだ俺は。食べたいんじゃなくて握りたいってどういうことだよ…)と思ったりするキャラですが、これ長くは続かないでしょうね。そのうち與兵衛と自分の葛藤へと向かわなければお話としては無理が出てきそう…あとの話は分かりませんけど。

主人公が町工場の社長に連れてってもらう地元の小さな寿司屋がメインの舞台になるのですが、そこの大将が、與兵衛の時の主人公を高く評価するんですね。特に不思議に思うわけでもなく。このあたり、さすが職人には技術が分かるのでしょうね。実際にこんなことがあっても不自然ではなさそうです。

そんでそこのお店の息子に後を継がせようとしているんでこの息子を鍛えてやってほしい、と主人公は大将にお願いされちゃって困っちゃったなーという展開。折しも大将の古い仲間でチェーン店の寿司屋の経営者がいて、そいつと息子がヨーシ寿司対決ダー!という展開になるのは必然です。料理漫画に料理対決は欠かせません。

與兵衛の時の主人公が非常に面白いキャラでしてねえ。女をネタに例えてですね、そんで大将の息子にナンパ指南などしちゃうんですね。変わった展開です。

この世はカネと女と寿司しかねえんだ それだけがこの世なんだからなあ

なんてなかっこいいことを言うんですね。江戸っぽいなあ!

お話はありえな系なんですが、それにしても内山先生の寿司描写はかなりガチですよ。内山まもる先生の絵はやっぱいいですね。原作の白川晶さんは私は初めてですが、ゴラクマンサン系ではあまり見ないですね。一直線というより、もう少し工夫をこらしたお話を書く方なんでしょう。