「エージェント・ゾーハン」を観ました

デニス・デューガン監督、アダム・サンドラー主演の「エージェント・ゾーハン」を観ました〜。

コメディ映画は基本的に泣けるってのは定説でして、代表例としては寅さんがありますよね。私も観衆の感情を揺さぶることによってうんたらかんたら、って話を読んだんだか聞いたんだったか、そういうことがありました。寅さんはもちろん泣きますけれども、これまで本当に恥ずかしいぐらい大泣きしてしまったのはジャック・ブラック主演の「Be Kind Rewind」でして、強く心に残っています。

さてそういう話から始まったのはなぜかといいますと、本作ゾーハンも初見で大泣きしたからなんですね〜。冒頭からして漫画的だったんで、クソくだらない設定のコメディ映画だろうなと思って油断してただけに、なんか最後の方は不意を突かれました。これも名作でしたねえ。なんだか最近当たりばっかで嬉しいです。

脚本にはアダム・サンドラーと、なるほどジャド・アパトーだったのか!! マジでアパトー外れがないです、ワタクシ。前に「スーパーバッド」を観た時にアパトーはしばらくお預けにしとこうなんて私は書いたんですけど、もう早速観てるっていう、短い謹慎期間でした。デューガン監督のほんわかコメディの持ち味をぶち壊すような、ちんぽまんこの話を面白くできる凄まじい腕前を見せつけられました。ゾーハンのセリフに「zikpah」なんていうヘブライ語で勃起を意味する単語などがわんさか出てくるんですけれども、他にもハムスや中東の飲み物だかが小道具として出てきて完全にステレオタイプ天国。アメリカ人の見た中東の人々の感じってのが、徹底されてました。心底くだらなかったですねーもちろんいい意味で。好きだったのはファントムとの交渉成立で踊りだすところ。

一番よかった俳優はハマリ役の主演アダム・サンドラーでしたが、他にもアラブ系なオモシロ連中がたくさん出ています。町中のレバノン人とイスラエル人に分かれてのチン論争の場面とかの役者連中は、しかし実際にはみんなアラブ系ってわけでもないってところが、映画って面白いですよねえ。

動物愛護に関する映画業界の憤懣というのもところどころで感じましたねえ。結構な割合で動物絡んできます。ネコ蹴るクダリはよかったです。そういう風習があるんでしょう、多分ないんでしょうけどw。以前観た「イントゥ・ザ・ワイルド」でもヘラジカザックザクに切るシーンのあたりは、とっても気を使ってみましたっていう映画的な誠意を感じたんですけど、それに比べて本作の、ロッキーのパクリでひよこを飲んだり吊るした牛にパンチしたりするのは完全に悪ノリだなあと。スーパーバッドの付録コメンタリーでも話題になってましたが、映画と倫理の問題を念頭に置くと、この映画の裏のメッセージ性というのがあぶり出されてくる気がします。

それから「スーパーバッド」のコメンタリーで思い出したんですが、「スーパーバッド」ではソニーという社名は使わないでくれと言われてたんだとか。本作におけるソニーのフィーチャーぶりはなかなか多いんですが、比較するとそれほど「品」に差があるようには思えないんですけれどもねえ。どういう線引きなのか、これもまた映画と倫理の問題に関わってきます。

あと凄かったのはマライア・キャリーカメオ出演。私は「プレシャス」でもクソ驚いたんですけれども、本作はプレシャス以前の作品です。マライア出まくってましたねえ。なにげにジョン・マッケンローも出てましたけれども、まあマライアに比べちゃうと。