「再会の街で」を観ました

マイク・バインダー監督の「再会の街で」を観ました〜。


見たところしっかりしたキャスティングとプロダクション、これは別名退屈とも無難とも言います。この辺り、どうやったら予算内でそう思わせないようにするかっていうのが映画作りの難しくて、面白い点なんでしょうねえ。いかにも深そうです。このテの「つまらんけど面白い系映画」でパッと浮かんだのは、デニーロ主演の「トラブル・イン・ハリウッド」でした。多分映画作りを生業にしている人は、色々と成り行きでペローンと作れちゃうもんなんでしょう。どこかに仄かな「ヤッツケ感」を感じてしまう、そんなタイプの映画です。

ウーン。なんでしょうねこの感覚。正直言ってつまらないんですが、でも面白くないってわけではなくて、まあ面白いっていうか。最近やっと気づいたんですが、やっぱり全体として挑戦していない攻めていない映画ってのは、つまらんもんですね。これようやく気が付きました。面白い/面白くないという評価以前に、つまる/つまらないっていうのがあって(つまるって言葉の意味が分かりませんがとりあえずは非つまらないという意味で)、本作について簡潔に言えば、つまらないけど面白い、そういう映画でした。今期見た中での名作「ゾーハン」を見た後だけに、アダム・サンドラーのこのトラウマ抱えた演技はきっついです。911へのレスポンスとして観るなら、本作品のほうがいくらか真摯で誠実な気はしますけどね、確かに(そういや「ゾーハン」もニューヨークが舞台で、この街の中華はうまいとかいうセリフがありましたが、本作でも2人で中華食べてましたねえ)。

トラウマ抱えた演技って鬼門ですね〜。観てるこっちが心配してしまうってのも理由にあるんでしょうけれども、演技ないし演出が結構過剰になってしまう傾向があるのが辛いところだな、と「路上のソリスト」を思い出しながら書いてます。誰だったらうまく演じられるとか、そういう問題でもないようですねえ。これは好みの問題かもしれませんねえ。

そんでまあ、リヴ・タイラー心療内科の先生なんですが、私の中ではイモ女優で、どうにもこうにも。トラウマ抱えた患者とカウンセラーが語ってどうせ治ったり治らなかったりなんでしょ、と思ってこっちは観てるんで、カウンセリングの場面などはただ話の筋を追ってるだけ状態で、無駄な時間ですよねまったく。

アダム・サンドラーがニューヨークであの原付スケボーみたいなのに乗ってる姿とかね、実に映画的でやらしいなあと感じました。なのにスティーヴ・クーガンがアリゾナでローラースケートに乗ってる姿には好感を持てちゃうっていうこの不思議。多分センスなんでしょう。本作の原題「reign over me」のタイトル曲のセンスがホントに嫌でした。BOSSのアルバム「The River」が登場するのですが、映画の中での音楽談義って、センスのない人にやらしたらひどくなるっていう、典型例だったなと感じます。これ辛口ですけどね。ただやっぱり、"「スクール・オブ・ロック」のスティーヴィー・ニックス"と比べてしまうとねえ…。

そんで最後にやっと、良かった点なんですけど、これ単純にお話が良かったです。昨年は「絆」という言葉に裏付けられるような、大変な現場が東北各地にありました。災害だけじゃなくてその後の色々とかを含めての現場ってことです。このお話も、911がもたらした多くの現場のひとつであるわけで、それに正面から向かった制作陣の意欲は単純にかっこいいと思いました。