『俺たちダンクシューター』を観ました

ケント・アルターマン監督の『俺たちダンクシューター』を観ました〜。

ウィル・フェレル主演の「俺たち」シリーズ風タイトルの邦題ですが原題は「Semi-Pro」、発音はセマィプロウ、ですなあ。70年代のバスケットボールリーグABAというのは実際にあったリーグだそうで、まず音楽がはっきりと70年代ソウル、ファンクをふんだんに使っている点に、この設定の意味があったのだろうと思います。ウィル・フェレル演じるジャッキー・ムーンのヒット曲『Love Me Sexy』は、ナイル・ロジャースが手がけたガチでいい曲で、この曲から映画が始まるあたりの雰囲気は『ブギー・ナイツ』に似たワクワク感を醸し出します。

冒頭からの70年代感やバスケとソウルの絡みはとても相性がいいなあ〜と観ていたんですが、どうもスポーツモノとして観るには本格的とは言えず、アフリカン・アメリカンのカルチャーとしてバスケットボールを考えようにも無茶があり、熱くなる要素は足りなかったかなと感じました。まあその辺はコメディ映画だからどうだっていいっちゃーいいんですけど、実際この映画はウィル・フェレルの作るコメディの流れとともに、ウディ・ハレルソンモーラ・ティアニーの渋い絡みが良作感を出していただけに、もったいない部分でした。要するにウィル・フェレルは、何を演じてもあまりそう見えない無理やり加減がおかしい人なのであって、シリアスな部分をバッサリ切った方がいい味の映画になるということがはっきり分かります。

ウィル・フェレルの味がもっともよく出ていたのは、ポーカーをやっているシーン、練習でゲロを吐くシーンあたりでした。試合中の余興よりも練習に時間を費やすようになり最後の試合の勝利に向かうのは映画としてはハイハイお約束ねっていう程度の印象しか受けません。結局これが、本格的なスポーツ描写を省いた結果なのですね。観ている側としてはどうしても映画的なカタルシスを欲してしまうのは悪い癖だとは思っているのですが、これはなんか仕方ないというか、観る側の宿命としか言えません。この点ではフィギュアスケートの方が勝っていました。やるなら特撮でも合成でも、なんでも徹底してやるべきだと思います。アリウープを発明した?ふざけんじゃねえよ、とね、まずがっかりしてしまうわけですよ、そういうアラが目立ってしょうがない。

あとウィル・フェレル以外のコメディ役者が圧倒的に足りず、アンドレ3000なんて使っても意味ねえなと感じてしまいました。コメディ感がまだまだ足りない。もっとゲスに、もっと下世話にできたはず。もちろんそうしなかった方が正解だったんですけどねー。