『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』を観ました

ピーター・カッタネオ監督の『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』を観ました〜。

これはも〜う、見どころがあり過ぎて、お腹いっぱいになりました。ロックバンドという題材からして『スクール・オブ・ロック』と比べて観てしまうのは仕方がないところですが、なかなか見劣りはしない映画だと思います。細かく言うと、コドモと共にロックをしているジャック・ブラック本人のキャラが、ロックへの愛情というか傾倒を強く感じてしまうので、その点では本作品の主役のレイン・ウィルソンは見劣りしちゃうかなーという感じがするし、また本作品の主役のバンドはビジネスとして契約してロックを始めているわけですから、ホテルで騒いで逮捕されたり口パクがバレてどーのこーのというのは、なかなか現実とは違うよねっていう話になってしまうわけで、そういう意味ではコドモにロックをさせていたアチラの映画の方がファンタジーとして幅があったように思います。

しかしそれはそれとして、肝心のロック、音楽の部分の作りこみはとても丁寧だったと思います。多少知識があれば、ガレージでの練習中やステージでのライブ中に出てくる機材を見てナルホドと思うことでしょう。ウェブカメラでの演奏シーンもみんなしっかり練習してて、特にエマ・ストーンは本当にベーシストに見えました。第三者がYouTubeに動画をアップして評判になるってのは、『ポルノスターへの道』を当然思い出してしまうべきところでしたねー。あの一連のシーンはレイン・ウィルソンの本領発揮といったところでした。それ以上に冒頭の、車の天板からドラムスティックを突き刺すあたりは超笑いました。

ロックに対する思い、ロックで得られるカタルシスがうまく表現されていたのは、私はドライブ・テストのシーンを挙げます。40過ぎの男と18,19の青年では、同じロックとは言ってもまったく異なるんですが、芯は同じということですね。あの携帯のカメラに向かって2人で叫んだあたりは、気持ちが通じ合ったいいシーンでした。

YouTubeで評判になり、契約も決まってレコーディング、中西部のツアーをやるぞーってな辺りはワクワクして観ることができました。が、なんていうのかいろいろ盛り込みすぎで、いろいろなセンを置きに行ってる感じがすっきりしませんね。私はコメディ映画はオチそのものはあまり問題外というか、そこには期待して見てないんですよね。どうせ映画なんだから「どうにかなって」終わるんだろうなっていうのが前提としてあるわけで、いろいろあったけど最後にLIFE GOES ONですっきり終わって欲しいんです。これもライブでワーってなって大団円、終幕〜ってパターンでよかったと言えばよかったんですが、なんかいろいろ置いたセンをもっと処理しなきゃないんじゃないの、と思ったり。まあ大したことではないんですが。

俳優陣は豪勢で嬉しい限り。『EASY A』よりも美人な(笑)かわいらしいエマ・ストーンがたっぷり見られるし、ジェーン・リンチの演技も『童貞男』以上にたっぷり見られるし、『俺たちニュースキャスター』で有能な女性キャスター役でたっぷり見られたクリスティナ・アップルゲイトは、ボーカル・ギターのお母さん役としてその美熟女ぶりをまたたっぷり拝めます。ありがたや〜。

そして80年代からのヘビーメタルのスーパーバンドのボーカル役は、なんと『俺たちフィギュアスケーター』でも観たウィル・アーネットでした。この人…やり手ですねーすごいな。細かいところでは『ピザボーイ』に出ていたアジス・アンザリも再び見られて、いやーもう、このコメディ方面の人の被りっぷりだけでもうお腹いっぱいです。